イタリアではここ数年、プロプライエタリなソフトウェアをオープンソースソフトウェアに置き換える公共部門が増加している。
ただ、これまでのほとんどの事例は地方自治体レベルのものであり、イタリア政府自体は概して、オープンソースへの道に進むことに乗り気ではない様子だった。
しかし、イタリア国防省が同省の5000台のコンピュータに生産性スイートである「LibreOffice」をインストールすると決定したおかげで、この状況は変わりつつある。
経験を踏まえ、移行と移行手順、訓練に関するアドバイスを語る、イタリアのLibreOffice普及推進団体LibreItaliaのプレジデントSonia Montegiove氏
提供:YouTube/TEDxAssisi
2016年の初めに開始されたこの変革では、まず5000台のコンピュータが対象となり、最終的にはイタリアの陸、海、空軍が保有する10万台のコンピュータにインストールされているMicrosoft製品を置き換えることになっている。
この動きは、フリーソフトウェアへの移行としては同国で最大の規模となり、LibreOfficeへの移行としては欧州で2番目の規模となる。
同省によると、4年がかりのこの移行によって2600万〜2900万ユーロ(2900万〜3200万ドル)の経費節減が可能になるという。削減された経費は、同省におけるERPソフトウェアの中心に据えられているプロセスに対するアップグレードとリエンジニアリングへの投資に振り向けられる予定だ。
またイタリア陸軍はこれと並行して、部署間でドキュメントをやり取りする際の標準フォーマットとしてODFを採用した。
この「LibreDifesa」(編集部注:Difesaは「防衛」の意)と呼ばれるプロジェクトを統括するCamillo Sileo軍司令官は、「われわれは2017年までに約7万5000台のPCを、そして2020年までにさらに2万5000台のPCを移行しようと計画している」と述べている。