富士通とオラクル戦略提携--基幹システムのクラウド移行を推進

三浦優子

2016-07-06 17:07

 富士通と米Oracle、日本オラクルは、クラウド分野での戦略的提携を発表した。「Oracle Cloud」を富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」と連携させる。利用者は富士通からサポートをワンストップで受ける。国内にデータを置ける環境を作ることで、基幹系でOracle Databaseを利用するユーザーのクラウド移行促進を狙う。

富士通株式会社 代表取締役会長 山本正己氏
富士通株式会社 代表取締役会長 山本正己氏

 富士通の代表取締役会長 山本正己氏は、「昨年、(Oracleの)Larry Ellisonが日本に来た際の会談で、今回の提携につながる話になった。準備に1年かかったが、両社の戦略的提携で、Oracle利用者のクラウド移行をスムーズに進めるエコシステムを作っていく」と今回の提携の背景を説明した。

 米国からビデオ会議で参加した、米Oracle経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)であるEllison氏は、「今回、新たな提携関係を富士通と結ぶことになった。富士通は日本で最も古いパートナーの1社だが、今回の新しい提携関係によって、好調なクラウド事業がさらに進展させていくことができる」と今回の提携を歓迎した。

Oracle Corporation 経営執行役会長 兼 CTOのラリー・エリソン氏は、サテライトから参加
Oracle Corporation 経営執行役会長 兼 CTOのラリー・エリソン氏は、サテライトから参加

 今回の提携内容は、(1)Oracle Cloudを富士通の国内データセンターに設置、(2)Oracle Cloud DB ServiceをK5オプションとして提供、(3)Oracle HCM Cloudを富士通グループで採用し、そのノウハウを活かした外販ビジネスの提供という3点。クラウドへの移行が最も遅れている、既存の基幹システムのクラウド移行を行う際、国内のデータセンター利用、ワンストップサービスという安心感、安全性をアピールすることができる環境を作り、基幹システムのクラウド移行を推進する。

香川進吾氏
富士通株式会社 執行役員専務 デジタルサービス部門長 兼 CTO 香川進吾氏

 (1)の富士通の国内データセンター内にOracle Cloudを置く事で、海外のデータセンターにデータを置くことに不安を感じている企業に対し、「国外にデータを持ち出すことなく、国内にデータを置いてクラウドサービスを利用できるとアピールすることができる」(富士通 執行役員専務 デジタルサービス部門兼CTO 香川進吾氏)と、信頼性、セキュリティ面でのメリットをアピールしていく。

 (2)については、富士通データセンター内に置かれたOracle Cloudと、富士通が提供するデジタルビジネスのプラットフォームで、新技術を採用したシステム、既存の機関系システムのクラウド移行をサポートする「MetaArc」がAPI連携。利用者は、K5オプションとしてOracle Cloud DBをK5ポータルから利用できるほか、富士通のユーザーが直接Oracle Cloudを利用することも可能となる。ミッションクリティカルに必要なエディション「EE Extreme Performance」は富士通だけが提供する。

 「お客様の多くが、ハイブリッドクラウドの利用を望んでいる。今回、K5の環境とOracle Cloudをスピーディーなネットワークで、自由に組み合わせて利用が可能となる。さらに、統一サポートデスクによるワンストップサービスを提供。トラブルが起こった時点でも、K5、Oracle Cloudを意識せず、問題解決を行える。K5ポータルからOracle Cloudをいつでも利用、追加を可能とするポータル間連携も実現する」(香川氏)

 (3)のOracle HCM Cloudの富士通グループでの採用は、タレントマネジメント領域からこのサービスを利用し、国内の富士通データセンターでセキュアに人事データを管理。さらに、「社内での採用にとどまらず、自分達で活用して得たノウハウを外販ビジネスに活かしていく」(香川氏)ことがポイントとなる。

 この3点の提携によるユーザーメリットとしては、既存システムをクラウドに移行することで、運用コスト削減を実現。「35%程度のコスト削減ができた例もある。このコスト削減分を新たなICT投資につなげることで、企業としての競争力を増す機会となる」(香川氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]