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スピード重視の開発からAWS導入支援に行き着くのは必然だった--アイレットCEO - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2016-08-11 07:00

後藤氏 そもそもAWSに関しては無用の心配や勘違いが多いです。既存のデータセンターと比較される可能性が多いため、立ち入りできるデータセンターのリスクを説明したり、AWSは第三者の監査レポートがあるといった説明をしています。

 AWS関連サービスの営業先は最初はスタートアップが多かったのですが、大企業の事業部から情シスを通さずにお話しをいただくことも増えました。そして一度でも成功を体験すると、その方たちが自社内で評価を広めてくれ大きな案件になっていく傾向があるようです。

齋藤氏 次に「ソーシャルゲーム」ですが、この業界はクラウド利用が早かった業界のひとつでした。とにかくアクセス数をさばきたいというニーズがあり、ゲーム向けのサービスを検討しています。私自身もゲーム開発をしていたため、その開発と運用、ゲームバランスやリリースのタイミングまで理解しており、より実践的なサービスを提供していけるという自負があります。

 3つめの「西日本」というのは、大阪にも拠点を作るということです。インフラエンジニアやクラウドエンジニアは、東京では取り合いになっていますが、全国ではまだまだ人材が埋もれていると考えています。そこで2年ほど前から西日本エリアに注目しています。西日本にもSIerや顧客がいるだけでなく、エンジニアの質の高さを感じるためです。

 この夏、2013年に開業したグランフロント大阪にcloudpackの新オフィスを作ることに決めました。なぜグランフロント大阪か。われわれは現在、虎ノ門ヒルズに東京オフィスを構えていますがその戦略と同じです。つまり“しっかりとしたオフィス”を持てる会社であるとアピールすることが重要と考えているからです。アイレットはAWSのプレミアコンサルティングパートナーの1社ですが、AWSを知らない顧客にとってはベンチャー企業のひとつにすぎない。

 ビルの力を借りてベンチャー企業として認知を高めるとも言えます。広告も兼ねてオフィスにお金をかけようという考えであり、認知度を拡大して西日本でのエンジニア採用を増やしたいと考えています。

――優秀なエンジニアを雇う秘訣は。

齋藤氏 われわれの場合、エンジニアコミュニティに参加したことが採用につながりました。例えばAWSのコミュニティに100人もいなかった頃からわれわれ自身が積極的に参加し、ノウハウなどの情報を発信していました。さまざまなエンジニアと出会って意気投合すれば、入社に至るケースもあります。

後藤氏 コミュニティへの取り組みに会社の雰囲気がそのまま出ていると思います。それは、ウェブも同様です。杓子定規な会社ではないということをアピールしており、エンジニアがこれからクラウドをやりたいと考えたときの、第1の選択肢に挙がることを目指しています。さまざまなコミュニティで発言している人たちは、常に自分のやりたい仕事をしたい、世の中のおかしいことを壊したいと思いながら活動しているようで、そうした人が活躍できる環境を整えています。

――具体的に雰囲気とは。

齋藤氏 入社した人に尋ねると笑ってしまうような話も多いです。「本当に一日中、AWSを触っていていいんだ」とか、「こんなに挨拶してくれるんだ」とか。下請けのような劣悪な業界から転職を考えたとき、大きな会社=安全と思って探すよりは、独立系インテグレーターに就職したいと考えるようで、そこでアイレットが印象に残っている人が多いのではないかと思います。

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