新たな進化の方向性:ジェネレータ&ディープラーニング
このジェネレータの課題に決定的なソリューションとなると考えられるのが、ディープラーニング技術の適用である。現在この技術は、人工知能(AI)の世界で画像認識やアルファ碁が代表的な適応例だが、実は画像やゲームだけでなく、ソフトウェアの開発工程においても、入力情報に対する成果物の認知、検出に適用することで、その関係性を利用したソフトウェアジェネレータへの応用が期待される。
ソフトウェア開発が自動化されると、圧倒的な開発スピードと品質の向上により、ソフトウェア開発コストは著しく低減する。機能追加変更やテストなどのコストも極めて低く抑えられるため、必要な機能だけでシステムを立ち上げ、必要に応じて随時機能開発するジェネレータ&アジャイルによるシステム開発が席巻する日も近いかもしれない。
これにより、将来は開発者が担うべき役割が大きく変わり、仕様書からプログラムを作成するだけの作業や単純な動作テストを繰り返す開発支援要員は職を失うことになるかもしれない。まさに創造と破壊によるイノベーションなのである。
しかし、ソフトウェア開発における品質・コスト・納期の全てに対して、強い競争力を生むジェネレータ&ディープラーニングの登場は、デジタル社会、クラウド時代の発展に強い影響力を持つことだろう。クラウド基盤の一層の拡大に加え、IoTの爆発的な普及とロボットの本格普及、VR/ARの爆発的普及は、膨大なソフトウェアを要求するが、それらの未来をジェネレータ&ディープラーニングによるソフト開発手法が一躍を担うかもしれない。
- 野口 央(のぐち なかば)
- 株式会社デーコム 取締役 事業推進部長
- 主に企業向け業務基幹システムの開発プロジェクトを担当。現在は、業務システムアドバイザー兼管理部門統括を担当。