VR/ARとモバイルクラウド
今回のVRブームをけん引している「Oculus Rift」は、ゲーム用の高スペックなPCに有線でつなぐハードウェアで、一通りの機材をそろえるのに30万円程度の投資が必要となり、一般層への導入ハードルはまだまだ高い。
そのような中で、既存のスマートフォンを表示機器として利用することで、安価かつ手軽にVRを楽しむことができるツールが、2014年にGoogle「Cardboard」、Samsung「Gear VR」を皮切りに、5月にはGoogle「daydream」が発表されるなど続々と登場している。
安価かつ手軽にVRを楽しめるこのようなモバイル型ハードウェアが、今後の非ゲーム分野でのVR市場では主流になっていくと考えられ、また今後、市場が立ち上がってくるAR市場においても、前述した「HoloLens」や「Magic Leap」等のモバイル型ハードウェアが主役となっていくと考えられる。
また当然の流れとして、このようなモバイル型ハードウェアを利用したSNSをはじめとした情報共有サービスが続々と立ち上がることが予想され、VR/AR市場においても“モバイルネットワーク”や“モバイルクラウド”は非常に重要な役割を担うものと考えられる。一例を挙げると、VR空間でイベントを開催し、家庭に居ながらにしてイベントに参加できるサービス等が考えられ、既にいくつかの企業がこのようなサービスを開始している。
課題としては、3次元CGや360度動画などのデータ容量の大きいコンテンツを扱うことから、モバイルネットワークに掛かる負荷も大幅に増大することが予想され、それに対応できるモバイルネットワーク自体の技術革新が待たれると同時に、端末側とモバイルクラウド側それぞれにどのような役割を持たせるか等のチューニングが、業界毎に最適化されていくものと予想される。
いずれにしてもVR/AR市場の成長に伴い、モバイルクラウド市場もさらに成長していくと考えられる。
- 横山隆之
- アップフロンティア株式会社代表取締役社長
- 1967年生まれ。1990年慶応義塾大学卒業後、三和銀行に入行。2000年にはネットITベンチャー専門の支援組織を立ち上げ、500社以上のベンチャー企業を評価するとともに、大企業とベンチャー企業の事業提携をはじめとした支援を実施。その後、2005年12月にアップフロンティア株式会社を創業。以来、スマートフォンアプリをはじめ、ソーシャルアプリやVR/ARアプリ、ロボットアプリ等、計500本以上のアプリを世の中に送り出してきた、最先端アプリの専門家。