名古屋医療センターはウェブ型電子カルテシステムを導入し、地域医療連携システムを構築。各部門システムのデータベースを統合するとともに、医師ごとの診療状況や病院の経営状況、患者の症例など、多様な観点からデータを分析する体制を整えた。富士通が7月8日に発表した。
名古屋医療センターは、740床を有する国立病院機構の病院で、高度医療や救急医療の提供、医師や看護師の養成など、地域に根付いた診療を長く続けている。がんや循環器疾患、血液難病、内分泌、代謝疾患などへの医療を提供するほか、エイズやリウマチにも対応する。臨床研究も盛んで、診療と研究の両面で先進的に取り組んでいる。
2009年に富士通の電子カルテシステム「HOPE EGMAIN-GX」を導入し、地域医療連携システムを構築している。また、2013年には事業継続計画(BCP)対策として、近隣6病院との電子カルテデータの共同遠隔地バックアップ機能も構築している。HOPE EGMAIN-GXの更新にあたり、2015年7月から販売開始している電子カルテシステム「HOPE LifeMark-HX」を選択した。
名古屋医療センターでは、HOPE LifeMark-HXのデータウェアハウス機能を活用し、オーダリングシステム、電子カルテシステム、医事会計システム、各部門システムのデータベースを統合した。そして、検査、処方、外来予約、入院予約データをそれぞれ連携させて患者データに出力、薬剤師がチェックし、医師へフィードバックするというPDCAサイクルを構築した。
これにより、抗がん剤投与で影響を受けるおそれのあるB型肝炎に関して、がん薬物療法前のHBs抗原検査をはじめとする関連検査受診の啓蒙活動を、患者に対して実施できるようになったとしている。
また、標準装備しているビジネスインテリジェンス(BI)ツールを活用し、医師ごとの診療状況や病院の経営状況、患者の症例など、多様な観点からデータを分析する体制を整えた。
患者プロファイルや問診表、手術記録、経過表などのテンプレートをこれまでも活用してきたが、入力された用語の標準化や記述方法の統一ができていなかったため、診療情報の活用がスムーズではなかった。この課題に対して、HOPE LifeMark-HXの導入後は、複数のテンプレートで項目の共通化を進めている。例えば、電子カルテの患者プロファイルと看護支援の看護プロファイルの連携を図ることで、情報の整理と入力の簡素化を図っている。
利用画面のイメージ(富士通提供)