オープンイノベーション拠点を新設するアクセンチュアの狙い

山田竜司 (編集部)

2016-07-13 08:40

 アクセンチュアは7月12日、大企業とベンチャーの協業など自社の強みと他社の力を融合させて製品やサービスを生み出す「オープンイノベーション」の拠点として「アクセンチュア・デジタル・ハブ」を、溜池山王のアクセンチュア本社付近に新設した。2015年12月に国内で設立した組織「アクセンチュア・オープンイノベーション・イニシアチブ」の、物理的な拠点として大企業とスタートアップ企業、教育・研究機関、地域社会などの相互連携をハッカソンやアイデアソンなどにより促すという。


アクセンチュア・デジタル・ハブ統括 保科学世氏

 「アクセンチュア・デジタル・ハブでは社会的なインパクトを与える点に注力できるようにする為短期的なKPIは設置しない。新規事業、新たな製品やサービスを世に出すためのカタパルトのような場所にしたい」(アクセンチュア・デジタル・ハブ統括 保科学世氏)

 現在多くの企業でこうしたオープンイノベーションの拠点を標榜するスペースが立ち上がっている。アクセンチュア・デジタル・ハブでは「デジタルマーケティング」「デザイン」、機械学習など「分析」「セキュリティ」の各領域の担当者が、常駐する点が特徴とアピールした。また、シリコンバレーやバンガロール、サンパウロ、北京など世界中のオープンイノベーション拠点とも連携するという。

 こうしたスキルをもった人材が外部パートナーとともにオープンイノベーションのエコシステムを構築。企業や組織に対してワークショップやアイデア検証、プロトタイプ開発の支援などを実施すると説明している。

 また、アクセンチュアが同日発表した一般社団法人未踏との協業により、IT技術を駆使してイノベーションを創出することのできる独創的なアイディアと技術を有するという人材「未踏スーパークリエータ」などと連携できる可能性がある点もアクセンチュア・デジタル・ハブの特徴と言える。アクセンチュアは同社の顧客と、未踏人材との連携を促進し、新規事業の創出を促したい考えだ。

 提携により未踏の人材は、アクセンチュアの顧客に対しIoTや人工知能(AI)、ロボティクス、ブロックチェーン技術などの領域で製品やサービスのプロトタイプ作成の支援する。アクセンチュアは、こうしたプロトタイプをいかに事業として成立させるかといった戦略策定や新会社の立ち上げをサポートする。

 会見に出席した2010年度未踏スーパークリエータの落合陽一氏は「未踏の人材などのクリエータや学術領域の研究者、事業化の専門家が一か所に集まれる場所はまれ。積極的にこの場を使って(最新研究を)社会実装したい」とコメント。実用までに時間がかかる研究のスピードを加速させる場所として評価した。

 アクセンチュアはこうした未踏との連携やオープンイノベーションのリアルな拠点の設置により、アクセンチュア・オープンイノベーション・イニシアチブの目標であるスタートアップ企業と顧客の新規事業の創出、社会や地域の課題解決に向けたエコシステムの構築を目指す点を強調していた。


アクセンチュア・デジタル・ハブ

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