日本株展望

7月25日週発表の日米金融政策が波乱要因に

ZDNet Japan Staff 2016年07月19日 12時10分

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 7月11日週の日経平均は、1週間で1391円(9.2%)上昇し、1万6497円となった。15日の東京市場で、為替は1ドル106円台まで円安が進んだ。1週間で一気に6円近く円安が進んだことを受けて、外国人投資家から日経平均先物の買い戻しが増えた。

 15日の米国市場では、トルコで一部軍部によるクーデターが起こったとの報道を受け、1ドル104.80円まで円高に戻った。ただし、トルコのクーデターは短期で鎮圧されたことから、週明けの世界の金融市場を揺るがす問題とはなっていない。

 日本時間で19日の午前6時20分現在、為替は1ドル106.17円だ。18日のCME日経平均先物(9月限)は、1万6610円。7月18日週の日経平均も、続伸が期待される。ただし、7月25日週の日米金融政策発表には注意が必要だ。このことについて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

円安急進の背景

 7月11日週、円安が急進したのには3つの理由がある。

(1)ブレグジット(英EU離脱)ショックが緩和

 英国民投票でブレグジットが決まったと伝わった6月24日は、世界中の株が急落し、ブラックフライデー(暗黒の金曜日)と言われた。このときは、世界の金融市場がハードランディング型のブレグジットを織り込みにいったと考えられる。

 ハードランディング型とは、英国がEUに離脱を通告してから2年間の離脱交渉期間で交渉がまとまらず、そのまま交渉打ち切りとなって、英国とEUの特別な経済関係が途切れてしまうシナリオだ。この場合、英国にもEUにも、世界経済にも大きなダメージが及ぶ。

 ブラックフライデー後、英米株は順調に回復し高値を更新している。ソフトランディング型離脱の可能性もあることがわかり、世界の金融市場は落ち着きを取り戻した。ソフトランディング型とは、英国とEUが離脱交渉において双方が受けるダメージを最小とするように条件交渉を進め、合意するケースだ。

 交渉は難航が予想され、2年で決着せず、3、4、5年と延長交渉になる可能性もある。決着に時間がかかるものの、単純なハードランディング型にはならないとの見方も増えており、英米株はブレグジットショックから立ち直りつつある。

(2)米景気の回復色が強まり、米国株(NYダウ・S&P500)が最高値を更新

 1~3月に原油急落とドル高のダメージを受けて失速した米景気だが、4月以降、持ち直しつつあることが徐々に明らかになってきた。7月8日発表の6月米雇用統計が、急回復を示していたことに加え、現在発表中の4~6月期米決算発表が好調に推移しているためだ。

 ブレグジット決定が伝えられた6月24日には、年内、米FRB(中央銀行)は利上げができないとの思惑が広がり、一時1ドル99円までドル安(円高)が進んだが、米景気の持ち直しを受けて年内に利上げが実施されるとの見方が復活し、ドル高(円安)につながっている。

 ただし、それでも、7月の利上げは難しいと考えられている。ブレグジットなどによる世界的な金融不安は完全には解消していないからだ。「米景気・企業業績が回復してきているにもかかわらず目先、米利上げは難しい」との見方が、米国株上昇の追い風となっている。

(3)日銀によるヘリマネ実施の思惑

 7月11日週は、日銀がヘリコプターマネー(ヘリマネ)と呼ばれる大規模追加緩和を実施するとの思惑が広がり、それが円安急進の背景となった。

 きっかけは、「ヘリコプター・ベン」の異名を持つ、前FRB議長のベン・バーナンキ氏が来日し、安倍首相・黒田日銀総裁と会談したことだ。「バーナンキ氏がヘリマネを推奨し、安倍首相・黒田総裁がそれを検討する」との思惑が勝手に広がった。

 ヘリマネの定義は必ずしも明確でないが、一部では、以下の解釈が広がっている。「日銀が政府発行の無利息永久債を引き受け、政府がそれで調達した資金をバラマキ型社会福祉に使う」というものだ。

 日銀が政府に実質タダでお金を渡し、それを政府が国民にバラマクというものだ。日銀から国民への現金バラマキとほぼ同じだ。「中央銀行がどんどん現金を増刷して、ヘリコプターで空からばらまく」というたとえから、ヘリコプター・マネーという呼び名がついた。もちろん、現時点でこれは机上の話で、実際に行った国はない。

 日銀による国債の直接引き受けは、当然ながら財政法で禁止されており、黒田日銀総裁は「(ヘリマネを)実行することはない」と語っている。

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