米Microsoftが先週、カナダのトロントで開催していた年次パートナー向けカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference2016」では、各種パートナーアワードを発表しており、日本企業からも数社が選ばれている。その中で、「ホスティングパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したインターネットイニシアティブ(IIJ)の執行役員でクラウド本部長の立久井正和氏に話を聞いた。
IIJの執行役員でクラウド本部長の立久井正和氏
IIJは、Azureのプラットフォームを基盤として活用しながら、ネットワーク技術などパートナーとして強みを持つ機能を交えながら、ユーザーにとって有益なクラウドサービスを展開していることが受賞の理由となった。
明示はされていないが、有力な活用事例の存在が受賞の理由になっている。オンプレミス、Azure、IIJが提供するクラウドサービス「IIJ GIO 」の組み合わせが評価されたと考えているという。
特に、オンプレミスからクラウドに移行させる際に重要になるのが、L2延伸だと指摘する。戸田建設の導入事例を示す下図にもある通り、IIJは顧客のオンプレミスシステムとIIJ GIO間でL2を延伸させることで、IIJ GIOとAzureで構成するマルチクラウド環境を、既存のオンプレミスともつなげている。強みであるネットワークが差別化要素になった。
図 戸田建設のハイブリッドクラウド導入事例を紹介。
一般に、クラウド導入に際して「安定稼働しているシステムに手を入れることなど顧客はしないのではないか」との指摘もある。
これについて立久井氏は「多くのシステムにはソフトウェアなどのサポート終了時期というのが来る」と指摘。これにより、望んでいなくても、リプレースせざるを得ないケースがでてくるという。
「ハードウェアを最新にすれば以前のOSが動かなくなる、OSが動かなければ既存のデータベースが使えなくなる、そうなるとアプリケーションが変わることになる。アプリケーションが変わるということは業務が変わること。これは本末転倒ともいえる」(立久井氏)
こうした影響を少しでも和らげるために、クラウド導入を検討する企業が多いとのこと。クラウドサービスならば、バージョンの変更などについて、その稼働の責任や作業を部分的でもクラウドサービスの提供企業に預けられることにもなる。
今後、PowerBIや機械学習、IoT、Cortana、AzureStackといったさまざまな取り組みをMicrosoftが展開していく中で、「ネットワークがキーになる」とし、パートナーシップを強化していくと立久井氏は述べている。