ランサムウェアの被害に遭った場合、その背後にいる犯罪者に交渉を持ちかければ、身代金の減額に応じてくれるのだろうか?
フィンランドに拠点を置くサイバーセキュリティ企業F-Secureは現地時間7月18日、「Evaluating the Customer Journey of Crypto-Ransomware and the Paradox Behind It」(暗号化型ランサムウェアにおけるカスタマージャーニーを評価する--その背景にあるパラドックス)というレポートを公開した。それによると、ランサムウェアの背後で糸を引くサイバー犯罪者らの多くは、被害者から金銭を得られるのであれば交渉に応じる意思があるという。
ランサムウェアは、マルウェアのなかでも特にたちが悪いものだ。対策がなされていないシステム上でマルウェアをダウンロード、実行してしまうと、該当PC上のファイルが暗号化され、アクセスできなくなってしまう。その後、ファイルを復号化するための鍵と引き替えに仮想通貨での支払いを要求されることなる。
マルウェアは進化を続けており、その標的はゲーマーから、より資金力のある大学や病院になり、身代金の額も200ドルから数千ドルに跳ね上がっている。とは言うものの、この種のマルウェアの背後にいるサイバー犯罪者らは、身代金が得られるのであれば金額の交渉に応じる可能性もあるという。
F-Secureは5種類のランサムウェアを対象に、それぞれの背後にいる犯罪者に交渉を持ちかけてみた。その結果、返答があったのは4人からであり、そのうちの3人が身代金の金額について交渉する意思を見せたという。
F-Secureのチームは偽のアカウントを作成し、被害者になりすましてランサムウェアの背後にいる犯罪者に連絡を取った。その結果、返答のあった4人の犯罪者のうち3人は、もともと要求していた身代金の減額交渉に応じる姿勢を見せた。同レポートによると、最終的な減額幅の平均は29%だったという。
ランサムウェアの多くは、被害者に支払いを迫るとともにパニックに陥らせ、できるだけ早く金銭を得るために、感染時に身代金の支払い期日を表示するようになっている。こういった期日は時間単位や日単位となっており、被害者が早く対処しなければファイルの削除を開始するという脅しを伴う場合もある。
しかし、F-Secureによると支払い期日は柔軟なものであり、被害者のふりをして連絡をとった際に応答してきた犯罪者はすべて、期日の延長に応じたという。
同レポートによると、犯罪者は被害者が失う貴重なファイルについて何らの興味も持っていないものの、「最終的に身代金を得るためには、被害者との信頼関係を樹立するとともに、ある程度のサービスを提供できるようにしておく」必要があるという。
提供:Symantec