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日本株展望

市場と対話しない日銀

ZDNet Japan Staff

2016-07-20 11:22

 7月19日の日経平均は、前日比225円高の1万6723円と続伸した。1ドル106円前後まで円安が進んでいることを背景に、外国人投資家が日本株を買い戻す動きが続いた。投資環境の好転を評価したいところだが、1つ不安材料が残っていることが気がかりだ。

 外国人投資家の一部に日銀がヘリコプターマネー(ヘリマネ)を実施するとの期待が広がっていることだ。黒田日銀総裁は、ヘリマネは財政法で禁止されており、実施できないと発言しているが、それでも「ヘリマネと実質的に同じ効果を持つ大規模追加緩和がある」との期待が1人歩きしている可能性はある。

 7月の日銀金融政策決定会合の結果が発表される、7月29日の昼ごろに注意が必要と考えられる。

 なお、7月20日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル106.10円だ。19日のCME日経平均先物(9月限)は1万6610円だった。このことについて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

日本株は大底圏と考えられるが、突発的な悪材料で急落するリスクはまだ残っている

 日本株は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りから見て割安と考えられる。昨年の夏以降、外国人投資家が大型株中心に投げ売りを続けてきたので、大型株の割安度が目立つ。特に、時価総額の大きいTOPIXコア30に含まれる銘柄群の割安度が際立っている。

 米国株の最高値更新、ブレグジット(英EU離脱)ショック緩和、米大統領選でドナルド・トランプ旋風がやや鎮静化しつつあることなど、リスクだらけだったグローバルな投資環境に少しずつ改善が見られつつある。日本株も、割安な大型株から時間分散しながら買い増しを始めたいところだ。

 ただし、来週のイベントである、日米金融政策決定会合の発表(アメリカは7月27日、日本は7月29日)には注意が必要だ。特に、日銀の金融政策発表には警戒が必要だ。

市場と対話しない日銀

 金融政策の変更によって金融市場がショックを受けないように、欧米では中央銀行がマーケットと対話する努力をしている。まず、金融政策変更についての考え方を繰り返し市場に流し、市場の反応を見る。

 市場は、中央銀行のメッセージを受けて、将来の政策変更を少しずつ織り込んでいく。最終的に、政策変更を発表した時には織り込み済みで、市場がほとんど反応しないことを理想としている。

 米FRB(中央銀行)の市場との対話の仕方にもまだ改善余地があるが、それでも政策を変更した時に市場に大きなサプライズが起こってはいないという意味で対話に成功しているといえる。

 これに対して日本銀行は、伝統的に秘密主義を貫いてきた。金融政策の変更を予知されないように秘匿してきたので、政策変更はサプライズを伴うことが多かったといえる。

 黒田日銀総裁は、2013年4月の着任時にマーケットと対話する開かれた日銀を目指すと宣言した。あれから3年、確かに黒田総裁はマーケットに強烈なメッセージを出し続けてきた。

 ところが、一見、明解に聞こえる黒田語録だが、肝心な政策変更については、予断や言質を与えないようにいつも巧妙に秘匿されている。その結果、市場は黒田総裁の真意をいつも読み間違える。日銀会合の結果発表直後は市場が荒れる。

 2015年12月18日、今年の1月29日、そして、4月28日、6月16日の日銀会合の結果発表後にマーケットは大荒れとなった。マーケットと対話しているふりをして、日銀がいかに重要なメッセージを出していないかがよくわかる。サプライズを起こしてマーケットを荒れさせ、日銀の力を見せ付けるという古い発想から抜けきれていないことがわかる。

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