中央大学は、理工学部における統計学教育の充実と学生の統計学リテラシーの向上を目指し、統計学の基礎知識や統計プログラミングの基本操作を学習できるeラーニングコンテンツを7月に導入した。コンテンツを提供したSAS Institute Japanが7月20日、発表した。
統計学への社会的需要は年々増加しているが、それに応える統計学を履修した学生数は圧倒的に不足しており、多くの大学は学生に統計学を基礎から教育しなければならないという課題を抱えている。今回の中央大学のeラーニング・コンテンツ導入は、こうした課題に対し、学生の統計学リテラシーの向上、統計学教育の充実と統計に秀でた学生の安定的な輩出を目的として行われた。
導入されたのは、中央大学が全学で導入している学習支援システム「manaba」上で動作し、音声ナレーションを含む画面操作ナビゲーションが付いた動画コンテンツで、統計学の運用ソフトとして実績の豊富なSASを習得できる。SASのデータハンドリングから統計初歩までの使用方法をプログラムベースで学習でき、利用者は約10時間でSASプログラミングの基本操作と統計学の基礎知識を習得できるように設計されている。SASによると、同社が国内の教育機関向けにeラーニングコンテンツを開発したのは今回が初という。
理工学部の大橋靖雄教授は、以下のようにコメントしている。
「SASは、スクリプト記述型と手続き型が組み合わさったプログラム言語で、習得後は多様なデータをハンドリングできるようになります。並列処理やデータベースとのリンク機能も有し、ビッグデータの扱いに精通していることに加え、SASは、変数の定義、適切な統計演算手法の選択など統計学の基本を学んではじめて運用が可能となるため、統計学的思考法に対する高い学習効果も見込めます。SASの高い実績と信頼性、応用性が今回の導入の決め手となりました」
同学部人間総合理工学科では、今後入学する学生に対して2年次終了までに本eラーニング・コンテンツの受講を義務化することを検討しており、これにより学生は必要最小限の統計学リテラシーを習得することが可能になるという。また、人間総合理工学科の学生のうち、少なくとも4分の1の統計検定2級の取得を教育目標として設定。これによって統計リテラシーの高い学生の安定的な輩出を実現し、統計学リテラシーを同学科卒業生の一つの能力的支柱へと発展させることを目指す。
さらに今後は、理工学部人間総合理工学科での生物統計学ならびに心理統計学等の統計学教育を通して、SASを用いた統計解析のエキスパート輩出を目指す方針。そのためにも、統計学の応用・専門分野に関するeラーニング・コンテンツの更なる拡充と統計講座の充実に力を注ぐべく、コンテンツ共同開発の可能性も視野に、SASとの連携を更に深めていくとのこと。