突然ですが質問です。外国で「日本人ってお金持ちですよね」と問われた時にどう思いますか。「外国人から見るとお金持ちに見えることもあるかもしれない。でも、俺の服は量販店で売っているものだし、贅沢なんかしてないよな」といったつぶやきが出てくるかもしれません。このように、見方が変われば導き出される答えも変わってくるということがよくあります。
そこで今回は、ベトナム人の普段の生活について、マクロの統計データにはなかなか出てこないミクロの視点から紹介したいと思います。
消費地として注目を浴びるベトナム
既に皆さんも承知のとおり、ベトナムは製造拠点のみならず消費地としても注目されています。成長基調が続いている経済情勢に加え、1億人近い人口を擁することは、国際的にもベトナムの大きなアドバンテージになっていることは間違いありません。
ベトナム最大の商業都市であるホーチミン市を中心に、日系企業の大規模小売店舗も進出し、スーパーマーケットでの日用品や食料品の購入も当たり前の光景となりつつあります。法定最低賃金も上昇を続け、国内総生産も拡大し、耐久消費財の普及率も伸びてきています。
また、既に普及している耐久消費財も高機能化、高価格化が進んでおり、例えばベトナムの代名詞でもある二輪車も、販売台数の50%以上がAT(自動変速)車になるといった変化も起きています。
私が支援しているベトナム関連事業でも、IT(情報産業)のみならず、嗜好品の販売や教育分野など所得が向上することにより支出が可能になる分野でのベトナムからの相談が増えています。日本やベトナム以外の国の機関や企業が公表するレポートを見ても、ベトナムの経済成長はこれからも比較的順調に続けていくことが予想されており、消費地としてベトナムが注目される流れはしばらく続きそうです。
ベトナム人にとっての「量販店」は?
一方、冒頭の質問ではありませんが、外国人が「日本での買い物=銀座で買い物」というイメージを持っていたとしても、日本人は普段の買い物を常に銀座で行うわけではありません。これはベトナムでも同じです。
最近では、大規模複合商業施設がベトナムでも多く建設されており、ベトナムの消費動向を語るときに例示される場合もあります。しかし、こうした大規模複合商業施設での買い物は、日本人の感覚での「銀座でのお買い物」「デパートでのお買い物」に近いものがあると感じています。
ブランド品や“ハレの日向け”の特別なものは別として、日本人が普段買い物をする「量販店」は、ベトナム人の場合には「市場(Cho)」です。普段の日用品を購入する小売向けとしての市場についてはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、販路としてベトナムを捉える場合には、具体的に誰がどのような場所で何を買っているのかを知る必要があります。
日本では購買調査の際に、いわゆる「F1層(20歳~34歳までの女性)」が重要な意味を持ちます。ベトナムにもその概念を持ち込んで考えてみたいところですが、日本とベトナムの平均年齢は10歳以上の差異もあることからそのまま適用するわけにはいきません。
そこで、おおざっぱなくくりですが、流行に敏感で消費動向に大きな影響力を持つであろう「女子大学生や就職後すぐの女性社員がよく行く買い物先」のハノイでの事例について紹介します。