日本株展望

金融政策と財政出動の発表に注目

ZDNet Japan Staff 2016年07月25日 11時30分

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楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する

 7月18日週の日経平均は、1週間で130円上昇し、1万6627円となった。米経済指標・企業業績の改善が続き米国株(NYダウ、S&P500)が史上最高値を更新したこと、日本政府が近く大型の経済対策を発表する期待があること、一時1ドル107円台まで円安が進んだことが上昇の背景となった。

 日経平均は21日に一時、1万6938円まで上昇した。

 ところが、21日のロンドン市場のラジオ放送で、黒田日銀総裁による「ヘリコプターマネーは必要性もないし可能性もない」という発言が流れると、1ドル107円台にあった為替は1ドル105円台まで円高に反転し、それを受けて22日の日経平均は前日比182円安と売られた。

 7月25日週の日経平均で注意すべきは、日米の金融政策の発表だ。日銀が追加緩和を行うとの期待が最近の円安・日経平均上昇に効いていた。追加策が何もないと失望されて円高・株安が進む可能性もある。

 また、政府が近く発表される経済対策への期待も、外国人投資家による日経平均先物の買い戻しを誘っていた。経済対策の中身が失望されると、再び日本株が売られる可能性がある。

 7月25日週は、金融政策と財政出動の発表が波乱要因となる可能性に注意したい。

今週の政策発表:市場が期待するベストシナリオとワーストシナリオ

(1)ベスト・シナリオ

 20兆円超の内容を伴う財政出動が発表されるとともに、日銀から国債の買い増しが発表されれば、市場は好感するだろう。それが、日本の未来にとって、ベストシナリオではないだろうが、少なくとも最近日経平均先物を買い上げてきた外国人の期待だと思われる。

(2)ワースト・シナリオ

 見かけだけ20兆円超の景気対策が発表されても、真水(公共投資・減税などの単年度のGDPを直接押し上げる財政出動)が3兆円程度しかないと失望される可能性がある。

 安倍政権は、目先の景気と株価を支えるために、とにかく財政出動の見かけを大きくしようと焦っているように見える。長年にわたって要望が出され、懸案になってきた公共投資をこの機会に一気に実行するならば即効性が期待されるが、そうではない。

 急に公共投資のアイディアを募集しても、すぐには案件が積み上がらない。そこで、即効性のない複数年にわたる対策を色々積み上げて見かけ20兆円超の経済対策としても、短期的な景気底上げに効果が小さいことはすぐに見透かされてしまう。

 最近は、即効性のあると考えられている公共投資ですら、計画を立ててもなかなか実行されない実態がある。建設労働者の不足が問題になっている面もある。また、地方自治体と共同でやる公共事業については、政府の補助金があっても、地方自治体が財政難で動けない場合もある。

 安倍首相は、伊勢志摩サミットで、欧米諸国に大型の財政出動で協調を要請した。欧米諸国から同意は得られなかったが、それでも提唱国の日本は、大型財政出動で先陣を切る必要がある。

 少なくとも、外国人投資家には、日本が大型の財政出動をすると期待を広めた効果がある。内容の伴った財政出動を発表できないと失望される可能性がある。

 29日のお昼頃に予定されている日銀の金融政策決定会合にも注意が必要だ。日銀が実施しているマイナス金利政策に弊害があることもわかり、日銀は動きにくくなっている。

 今回は、財政出動に景気対策を任せるということで、日銀は動かない可能性もある。あるいは、見かけだけの追加緩和で実効を伴わないものを発表する可能性もある。

 ヘリコプターマネーは財政法で禁じられているので、実行できないことはわかっているが、それでも、「ヘリコプターマネー並みの」追加緩和実施への期待が勝手に一部外国人投資家の間に広がっているだけに、29日は、日銀がどのような内容を発表しても、失望されるリスクがある。

 財政出動が見かけ倒しで、加えて日銀の金融政策でも特に何の追加策も出なければ、日経平均先物を買い上げてきた短期筋が、売りに転じる可能性がある。

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