日本株展望

金融・財政政策の発表待ち--4~6月決算発表にも注目

ZDNet Japan Staff 2016年07月26日 11時37分

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 7月25日の日経平均は、前週比6円安の1万6620円だった。為替は、1ドル106.20円近辺で小動きだった。政府の経済対策と日米金融政策の発表を間近に控え、神経質な相場展開となっている。

 発表される財政・金融政策の中身次第で相場が荒れる可能性もあり、25日の東京市場では株・為替とも大きく動くことができなかった。

 26日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル105.78円だ。CME日経平均先物(9月限)は、1万6560円だった。

 これから本格化する4~6月決算の発表にも注目だ。今回は、決算の注目点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

今期業績予想は第1四半期を終えてどう修正されるか?

 金融・財政政策の発表に注目が集まっているが、これから本格化する4~6月決算も重要だ。日本の企業業績が2016年1~3月期を底に回復に向かうのか、低迷が長期化するのか、見極める試金石となる。

東証1部3月決算主要企業の今期(2017年3月期)業績の前年比変化率 (会社予想):7月25日時点

東証1部3月決算主要企業の今期(2017年3月期)業績の前年比変化率 (会社予想):7月25日時点
(出所:今期業績予想を公表している主要企業1445社から集計、楽天証券経済研究所が作成。IFRS・米国基準採用企業は、連結税前利益を経常利益とした)

 7月25日時点で、今期の業績予想は上の表の通りとなっている。これが、4~6月決算の発表が進むにしたがって、どのように修正されていくかが鍵となる。

 1ドル99円まで円高が進んだ時は、今期の企業業績は下方修正ラッシュになると考えられていた。今期の企業業績予想の前提となる為替レートを1ドル105~110円に設定している輸出企業が多いからだ。

 1ドル100円を前提とする企業が増えると、今期の企業業績は5~10%ポイント下方修正になると考えられていた。

 ところが、現時点では、為替は1ドル106円まで円安に戻っている。為替前提を105~107円に見直す企業が増えると、輸出企業で若干、下方修正要因となるが、当初懸念されたほど下方修正が大きくはならない可能性がある。

 第1四半期の決算発表時に、いきなり通期の企業業績を修正する企業は通常はあまり多くない。為替が1ドル106円辺りに戻ったので、通期の業績修正はあまり多くないかもしれない。それでも、業績の進捗率を見ながら、業績モメンタムの変化を読むヒントになるだろう。

純利益と経常利益、どちらを見るべきか?

 外国人投資家と日本人で、企業業績の見る部分が異なる。外国人は、全産業ベースの連結純利益の変化率(上の表の紫で示したところ)に注目している。一方、日本人は、金融を除く全産業の連結経常利益(上の表の赤で示したところ)がどう変化するか注目している。

 どこを見るかで今期の企業業績の見え方が異なる。全産業純利益は、8.3%の増益が見込まれているが、除く金融経常利益では0.6%の減益が見込まれている。純利益で見ると、前期末(2016年1~3月)が利益の底で今期は回復が見込まれている。

 経常利益で見ると、前期に続き、今期も利益の低迷が続くという形になっている。

特殊要因を除かない全産業純利益を見るのが国際的には定番

 株主にとっての最終利益は純利益となる。外国人投資家が全産業連結純利益に注目するのは当然といえる。

 これに対して、日本のアナリストや投資家は、業績の中の特殊要因(特別損益)を除いた経常利益の変化に注目している。日本の会計基準の特色の1つに、特別損益の計上が認められていることがある(IFRSや米国基準では、特別損益の計上は原則認められない)。

 今期純利益で増益が見込まれるのに経常利益では減益見通しとなるのは、特別損失の影響によるものだ。日本企業は、業績の悪化局面で多額の特別損失を計上する傾向がある。

 前期(2016年3月期)は、多くの日本企業が、資源権益減損や在庫評価損などによって特別損失を計上した。それで、前期の純利益の水準は低くなった。ただし、前期の経常利益(特別損失差し引き前の利益)は、純利益ほど減少しなかった。

 今期の純利益は、資源価格反発により、資源関連の特別損失が発生しない見通しとなっているため、8.3%の増益見通しとなっている。円高は減益要因だが、資源価格の反発による特別損失の減少が最終利益を押し上げる。

 ところが、連結経常利益で見ると、今期は0.6%の減益予想となっている。経常利益は特別損失差し引き前の利益なので、特別損失の減少が増益要因とならない。

 このように使う会計基準によって、企業業績の見え方は異なる。日本企業の中には、IFRSや米国基準を採用している企業もある。IFRSや米国基準では、特別損失の計上が原則認められない。

 IFRS・米国基準採用企業では、日本基準採用企業が特別損失にする費用(資源権益や不採算事業の減損、リストラ損失など)も営業費用として処理する。

 IFRS採用企業が増加するにつれ、日本でも特別損益の計上は少なくなっていくと思われるが、現時点では、まだ特別損益が利益に与える影響は大きくなっている。

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