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日本株展望

まもなく発表される経済対策への期待が低下

ZDNet Japan Staff

2016-07-27 13:23

 7月26日の日経平均は、前日比237円安の1万6383円となった。26日の日本経済新聞朝刊で、政府が「来月2日にもまとめる経済対策の骨格を固めた。焦点となっていた国と地方の財政支出(真水)を6兆円程度に積み増す方向で調整する」と報道されたことが嫌気された。

 「20兆円超の経済対策」という言葉が一人歩きして投資家の期待が膨らんでいたが、真水が少ないことがわかり、失望に変わった。

 29日昼に発表される日銀政策決定会合の結果発表にも不安がある。楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏は、外国人投資家に追加緩和の期待が広がっているが、マイナス金利の弊害も目立つ中、大規模な追加緩和の余地は小さくなっているという見解を示している。

 26日は財政・金融政策への期待が低下したことを反映して、1ドル104円台へ円高が進み、日経平均は売られた。

 27日の日本時間午前6時10分現在、為替は1ドル104.66円だった。26日のCME日経平均先物(9月限)は、1万6385円だった。

政府の財政出動は準備不足の観が否めない

 7月21日に「近く発表される経済対策の規模は20兆円超になる見込み」と報道が出た時は、株式市場に好感された。それまで、10兆円程度の経済対策になると見込まれていたので、規模が倍増する期待が出た。

 ところが、22日には、20兆円超の経済対策のうち、公共投資や減税など実際の財政出動を伴う“真水”が財務省の提案では3兆円程度しかないことがわかり、失望された。

 26日の日経報道では、真水が小さいことに市場が失望していることを意識して、政府が真水を6兆円以上に積み増そうと検討していることがわかった。ただし、真水とは言っても、単年度で実行されるものばかりではなく、複数年にわたる案件が含まれるようだ。それでは、単年度の景気押し上げ効果は限られる。

 一連の報道から、安倍政権が株式市場に失望されないように経済対策の規模を大きく見せようと腐心していることがわかる。伊勢志摩サミットで、欧米諸国に財政出動での国際協調を積極的に提案した安倍首相としては、日本の財政出動規模を何としても膨らませようと考えていることだろう。

 見かけを大きくしようと腐心している舞台裏が透けて見えるところから、政府の経済対策は準備不足であることがわかる。大型の公共投資は本来、長い時間かけて必要性の高い案件をリストアップし、その中で、さらに必要性の高いものに絞り込んでいくべきだ。

 株式市場を驚かせることを目的に、初めに金額を大きくすることを決めて、後から一生懸命案件を積み上げていくやり方は、本末転倒と言わざるを得ない。

 熊本地震では、大規模震災に備える国土強靭化がまだ足りていないことがわかった。時間をかければ、真に必要性が高い公共投資を見つけていくことはできるはずだ。ただし、近く発表される景気対策では、そうした地道な投資案件の積み上げは間に合わない可能性が高いと思われる。

年金財政の悪化が顕在化

 マイナス金利の弊害がさまざまなところに表れており、日銀は、マイナス金利の深堀りや債券買い取り額の大幅増額に動きにくくなっている。マイナス金利の弊害で最も深刻な問題は年金財政の悪化だ。債券利回りの急低下で、年金の予定運用利回りが低下し、その結果、年金債務(現在価値)が膨らみ、積み立て不足が拡大している。

 26日の日本経済新聞朝刊によると、上場企業3642社の2015年度末の年金債務は、前年度末比で5.1%増加し、91兆円と過去最高に拡大した。マイナス金利の影響で割引率が低下したため、年金債務額が膨らんだ。年金債務の積み立て不足(将来の年金給付に備えて企業が積み立てている金額の不足分)も26兆円に拡大した。

 企業年金だけでなく、公的年金も同じ問題を抱えている。金利のマイナス幅拡大が続くと、公的年金の給付引き下げや支給年齢引き上げを検討しなければならなくなる可能性もあると考えられる。

日銀がここからできることは限られている

 これまでに検討の俎上にのぼった追加緩和策について、それぞれ以下のような問題がある。

  1. マイナス金利の深堀り:年金財政の悪化や金融機関の収益悪化を招いている
  2. 年間80兆円の国債買取額の増額:日銀の一手買いで国債の流動性が低下
  3. ETFやREITの買い増し:現在年間3兆3000億円買い取っているが、それを4兆~5兆円に拡大。株の直接買い取りで株式市場を支える効果はあるが、金融緩和効果は限られる
  4. 貸し出し支援基金への日銀によるマイナス金利での融資実行:発表されれば、一時的に好感されるかもしれないが、冷静に考えて、金融緩和効果は限定的

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