基調講演では、具体的な顧客事例として、4人が登壇した。
富士通 執行役員 人事本部長の林博司氏
富士通 執行役員 人事本部長の林博司氏は、「グローバル人事情報システムが構築できないと、要請に応じた最適な人事政策ができない。富士通では、クラウド分野でオラクルと協業するとともに、Oracle Fusionで提供されているHCM、タレントマネジメントシステムを採用し、これを12万5000人の社員を対象に利用することになる。さまざまな機能追加を一緒になって作っていこうという機運が感じられたのがオラクルであった。パッケージは使いやすい反面、手直しができないという課題がある。社内実践を通じて、グローバル化した日本の企業に提供するためのソリューションを構築できることにもつながる」と述べ、「人がすべき仕事が変わっていく。その中で、デジタル技術を駆使し、人の活動を豊かにし、幸せにしていきたい」とした。
楽天 常務執行役員 CPO グループエグゼクティブ ヴァイスプレジデントの杉原章郎氏
楽天 常務執行役員 CPO（チーフ・ピープル・オフィサー） グループエグゼクティブ ヴァイスプレジデントの杉原章郎氏は、「楽天では、年間1400人の社員を採用しているが、そのうち約40％が日本人以外である。終身雇用という考え方は通用せず、3～5年で退職するということを前提としている。人の採用に関しては、さまざまなところから候補者が出てくるが、英国でエントリした人を不採用にしたものの、日本では、そのスキルを持った人を採用したかったといったことが、後からの情報交換で分かることがあった。エントリ時点で、世界中の人事の担当者がその情報を共有し、必要なスキルを持った人を必要な領域で採用できる仕組みが必要だった。オラクルのクラウドを採用した理由はそこにある」と語った。
北海道大学観光学高等研究センター准教授の石黒侑介氏
北海道大学観光学高等研究センター准教授の石黒侑介氏は、同大学のほか、札幌市や日本オラクルなどが参加している、さっぽろ観光創造研究会の活動について紹介した。
さっぽろ観光創造研究会は、産官学連携で、札幌市の観光誘致を目的として、2015年9月に設立。「住むように訪れる札幌」の実現に向けた活動を行っているという。10年前には、札幌への観光客は約30万人であったが、2015年は約200万人が訪れており、さらなる誘客への取り組みを行っているところだ。
同研究会では、冊子として、「札幌でしかできない50のこと」を発行。住民目線での情報を提供しているが、「SNSを活用するだけでなく、アナログの冊子として提供する重要性もある。だが、それによって、どんな影響があったのかということは、SNSを活用した効果分析を行っている。アナログとデジタルの組み合わせが効果的である」とした。
ドン・キホーテ 営業支援室プロモーションサポート兼インバウンド戦略室SNSチームの大島隆晴氏
ドン・キホーテ 営業支援室プロモーションサポート兼インバウンド戦略室SNSチームの大島隆晴氏は、「ドン・キホーテは、予定していなかったものも一緒に買ってしまうような、独自の世界観の店づくりが特徴。手書きPOP、圧縮陳列などの創業時からのDNAを生かした店舗演出をしている。店舗ごとに価格が違うのも特徴で、店長に権限委譲を進めている。ドン・キホーテに関するツイートは、1日平均で5000～8000件もある。かつて、ドンキで購入したカラーコンタクトをつけると失明するという書き込みで炎上したことがあった。そうした誤った情報への対策などのために、自社で開発したツールで一件ずつ対応していたが、ドンキという言葉が入っていない書き込みや、画像だけの投稿の場合、ネガティブなものが発見しきれないという課題があった。虫が混入したために販売を一度中止した食品が再発売された際に、その横に殺虫剤が偶然展示されていた画像が上がり、炎上したことがあった。これを事前に発見することができなかった。オラクルのSocial Cloudを導入することで対応できるようにしたい」などと語った。
