総務省は7月29日、日本の情報通信の現況と情報通信政策の動向について国民の理解を得ることを目的とした「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)の平成28年版を発表した。44回目の公表。
今回の白書では、特集テーマを「IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」とし、IoTやビッグデータ、人工知能(AI)などの新たなICTについて、その進展状況と社会全体にもたらす変化を展望している。
第1章ではIoTやビッグデータ、AIに代表される新たなICTテクノロジを、少子高齢化や人口減少による労働人口の減少を補う生産性向上や、イノベーションの手段として紹介、その重要性を強調している。
一方、これまでの日本の企業のICT投資は業務効率化やコスト削減など「守りのICT投資」だったと説明。米国の例を引き合いにしながら、製品やサービスの開発強化や、ビジネス変革にICTを組み込む「攻めのICT投資」の重要性を指摘し、日本でもハードからソフトやクラウドサービスに生産性向上のためのICTが進む可能性を指摘した。
また、IoT・ビッグデータ・AIへの投資が進めば33兆1000億円の押し上げ効果が見込めると試算している。
第2章ではIoT時代の産業動向を分析している。IoTを活用した製品やサービスの導入率やIoT関連設備投資、関連売り上げなどからIoT進展指標(導入率)を作成。日本は携帯電話契約数やモバイルBBなどネットワークインフラ環境は米国や英国、中国、ドイツ、韓国といった国々の中で最も整備されているものの、IoTへの投資額は韓国に次いで低いという。