ハードウェアレスであることから、AWSなどのパブリッククラウドと同様、オンデマンド感覚、スモールスタートでサービスを利用できる。またSD-WANと言っているが、実は仮想オーバーレイ技術がLANとWANの境界を取り払い、拠点、クラウド、リモート環境を1つの新しい平準なネットワークに再定義できる。
そして拠点ごとのプロキシやフィルタ、ファイアーウォールなどのハードウェア機器を全てクラウドへ上げることで、メンテナンス不要、セキュリティポリシーも一元化できる点に、クラウド時代の可能性を感じる。
中堅中小規模の拠点/店舗、リモートアクセス、車載機器、全国に分散したM2MやIoT、ソフト開発や建築現場など期間限定ネットワークなどに最適なサービスといえる。
直近ではソフトバンクがCradlepointの採用を発表しているが、SurfaceやタブレットなどのLTEデバイスにソフトウェアを導入するだけで、拠点間やハイブリッドクラウド接続はもちろん、今日本でも増えている公衆ホットスポットを利用したリモートアクセスやOffice365などSaaSへのアクセス管理などのセキュリティ機能を手軽に確立できる。
今までネットワーク&セキュリティ機器の導入にハードルがあった企業ユーザーやインテグレーターの新たな需要を掘り起こすかもしれない。

従来型:ペリメーターによる管理(左) EP型SD-WANで再定義したネットワーク(右)
7月8日にIDC Japanから発表された最新のIDCの調査報告では、クラウド導入に伴いWANを見直した企業は66.9%、パブリッククラウド接続では「インターネットを多く利用する」が6割。閉域網利用を大幅に上回る結果となった。
今年は日本でもSD-WANの利用事例が多く発表される。この新しい潮流は決して未来の話ではない点は留意しておくべきだろう。
- 中島隆行
- Cradlepoint Japan 株式会社 カントリーマネージャー これまでベンチャーキャピタルであるジャフコにて主に北米におけるセキュリティスタートアップの開拓やインキュベーションを担当してきた。主な投資先はPertino、RedSeal、Ionic Security、Synack、Exabeamなど。 ジャフコ加入前はシマンテック、オラクル、サン・マイクロシステムなどのビジネス開発を歴任。2016年4月より現職。