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日本株展望

円高急伸に警戒広がる--株買い支え役に徹する日銀

ZDNet Japan Staff

2016-08-01 13:11

楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する

 7月29日昼過ぎに、日銀の金融政策決定会合の結果が発表された。市場が期待する大規模緩和はなかったが、ETF(指数連動型投資信託)の買い入れ額を年間3兆3000億円から6兆円に増額する、大規模な株買い支え策が発表された。

 大規模緩和がなかったので円高が急伸(午後3時20分時点で前日比1円62銭円高の1ドル103.66円)したが、株(ETF)買い支え策発表が効いて、この日の日経平均は92円高の1万6569円となった。

 29日のNY市場に入り、一段と円高が進み1ドル102.09円となった。1日で3円以上の円高急伸だ。4~6月の米GDP(速報値)が前期比年率1.2%増と、事前予想(2.6%増)を下回り、再び、米景気回復に疑問符がついたことが影響した。

 同日のCME日経平均先物(9月限)は1万6320円と、日経平均終値を249円下回った。

株買い支え役に徹する日銀

 29日に量的金融緩和の拡大発表はなかった。マネタリー・ベース(市場に出回るマネーの基礎となる部分)の拡大ペースは年80兆円で変更しなかった。株(ETF)の買い増し額を2兆7000億円増額する分、債券の買い増し額を2兆7000億円減額したことになる。

 日銀は、日本株買い増しを「質的金融緩和」と呼んでいるが、窪田氏はこれを金融緩和と呼ぶのは妥当でないという。日銀が発表したのは、ただの株買い支えで、本来、中央銀行がやるべきことではない。やるとしたら、金融危機を防ぐために一時的に買い取ることに限定すべきだ。

 今のように金融危機の懸念がない時に、政府と連携して年6兆円も株を買い取るのでは、正常な株式市場の機能を損なう懸念がある。将来、日銀が保有株を売却するときには、株式市場にきわめて大きな需給面の懸念を与えることになるだろう。さもなければ、日銀に、日本株を永久保有させるしかないが、そうなると、コーポレート・ガバナンスに問題が生じる。

 政府・日銀は、これまで打ってきた財政・金融政策が、日本のデフレ脱却に効果がなかったので、ともに目先の成果だけ求める安易な策に流れるようになっている。株式市場に直接介入する姿勢は、資本市場が未成熟な中国政府のやり口と似通っている。

 政府の経済対策も、長期的に日本経済の足腰を強くする規制緩和や構造改革を避け、短期的に景気を押し上げる公共投資や、バラマキ型福祉に偏重してきている。政府・日銀が、長期的な日本経済を考えず、短期的に株を上げることばかりを目標にしている印象だ。

目先の日経平均は支えたが、円高進行で先行きに警戒残る

日経平均週足:2015年1月~2016年7月

(注:楽天証券マーケットスピードより窪田氏が作成)
(注:楽天証券マーケットスピードより窪田氏が作成)

 7月29日の東京市場は、日銀の株買い支え策発表が聞いて、円高・株安のダブルショックに見舞われずに済んだ。

 4月28日、6月16日は、日銀が追加緩和なしを発表した直後に、円高・株安のダブルショックに見舞われた。4月28日の日経平均は前日比624円安、6月16日は同485円安だった。7月29日も、円高を嫌気して一時日経平均が302円安になる場面があったが、株買い支え策の発表が効いて、その後、上昇に転じた。

 ただし、一時的に株安は防いだものの、円高急伸は防げなかった。8月1日週は、日経平均に円高を嫌気した売りが出てくる可能性もある。

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