EUの一般データ保護規則と改正個人情報保護法--日本企業が気をつけるべきことは - (page 2)

吉澤亨史

2016-08-04 07:00

改正個人情報保護法のポイントとGDPRとの関連

 ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士は、「改正個人情報保護法制の概要及びEU十分性認定についての見通し」と題して講演した。板倉氏は、改正個人情報保護法のスケジュールに触れ、個人情報保護委員会の設置が遅れたことから、2017年1月とされていた全面施行も春頃にずれ込むのではないかと予測を述べた。また改正のポイントとして「個人情報の定義の明確化」「適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保」「個人情報の保護を強化」「個人情報保護委員会の新設及びその権限」「個人情報の取り扱いのグローバル化」「その他の改正事項」の6つを挙げた。


個人データ移転の法的要件

ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士

 個人情報の定義については、「文書、図面もしくは電磁的記録に記載され、もしくは記録され、または音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項」との表現が追加された。また、個人識別符号も追加された。これにはDNAや指紋、掌紋、顔、指の静脈などや、マイナンバーをはじめとするさまざまな番号が含まれる。さらに、人種や信条、病歴などを含む要配慮個人情報が新設され、取得や第三者提供の際には本人の同意が義務化された。ビッグデータの活用のために、個人を識別できないようにする匿名加工情報も新設されている。


個人情報保護法の改正のポイント

日欧米の個人情報保護制度及び移転規制の概要

 グローバル対応では、外国にある第三者への個人データの提供の制限や、個人情報保護法の域外適用に関する規定も新設された。日本がEUの十分性を得られるかについては、基本的にEUと同等のレベルにあるとし、ようやくEUと十分性について話ができる状況になったと述べた。ただし、個人情報保護法では民間しか見ておらず、行政機関を監督できないことが問題であると指摘した。

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