ミック経済研究所は8月1日、ERPを主体とする基幹業務パッケージソフトのクラウド、オンプレミスにわたる市場動向および中期予測に関する調査結果を発表した。ERPパッケージ市場を合算したERPトータル市場は、2015年度出荷金額1304億円、前年対比105.2%となった。
ERP市場規模中期予測図(単位:百万円)
ERPパッケージ市場は、大手企業向けのERPベンダーがSaaSを含め中堅企業向け製品を投入する一方、中から小規模企業向けのERPベンダーも中堅企業向けに製品を充実させており、製品機能の差別化が難しくなってきている。しかし同社では、SaaSに加えIaaS上の運用が加速する中堅市場での導入比率は6割程度とまだ低く、オフコンユーザーを含む巨大マーケットなだけに伸び代は充分にあると言えるとした。
市場全体をユーザー年商規模ごとに区分してみると、大手企業向け市場(ユーザー年商規模500億円以上)では、自動車関連や海外を含めグローバルな経営管理案件が押し上げに貢献し、前年比108.3%と順調に推移した。中堅企業向け市場(ユーザー年商規模50~500億円)はマイナンバーをきっかけにしたシステム刷新や、グループ企業の基盤見直しなどから拡大し、前年対比106.5%となった。
中規模企業向け市場(ユーザー年商規模5~50億円)も、前年度の反動を受けたもののマイナンバー対応案件が下支えし、前年実績を上回った。一方、小規模企業向け市場(ユーザー年商規模5億円以下)では、消費税対応およびWindowsXPのマイグレーションの特需が2014年まで長引いた反動を受けて低迷している。
2016年度は、大手企業ほど景気の上向き感を受けてシステム投資に踏み切っており、グループ企業などのグローバル案件や連結管理ニーズの吸収により、同社では出荷金額約1407億円、前年対比107.9%と予想した。IFRSの強制適用時期の不透明感はあるものの、大手企業ほど着実にグループ連結管理の一元化の必要性からプロジェクトを進めているという。
また2017年度以降は、連結基盤の見直しやクラウドERPの採用がさらに加速、実施時期が2019年10月に延期になった消費税改正をにらんだ追加案件などもあって堅調な成長を続け、オリンピック開催の2020年度には約1757億円に達する予測している。
今回の調査は、総合ソリューションベンダー4社とソフトウェアベンダー61社を対象に実施された。その上で各社の取材数値を積み上げ、2014年度から2016年度の基幹業務パッケージソフトの分野別市場規模と、同3カ年の積み上げ数値をもとに2020年度までの中期予測を行っている。