OpenStackはオープンソースのクラウドソフトウェアスタックとして普及しているが、そのDevOps部分を受け持つツールである「Fuel」はユーザーの獲得に苦戦している。しかし今回、GoogleとIntel、MirantisはFuelをリライトし、オーケストレーションエンジンとして「Kubernetes」を組み込もうとしている。
賢明な動きだ。
Fuelのオリジナル開発者らには敬意を表するが、同ツールが軌道に乗ることはなかった。一方、Kubernetesは既に多くのユーザーを獲得している。
説明の必要はないだろうが、Kubernetesはコンテナの管理やDevOpsのためのツールだ。OpenStack上では、Kubernetesによるこういった配備は「Docker」コンテナを使用することになる。KubernetesをベースにしたFuelによって、仮想マシンやコンテナ、ベアメタルシステム向けの単一のプラットフォームが提供され、OpenStackの運用やライフサイクルの管理が動的に制御できるようになる。
新たなFuelは、継続的な統合(CI)と継続的な配備(CD)をつなぐパイプラインの実現を目的としている。これによりユーザーは、サービスの配備や配置をより細かに統制できるようになるとともに、ローリングアップデートを実施したり、OpenStackの制御プレーンを自己修復可能にし、回復力の向上を図れるようになる。また、コンテナベースのアプリケーション開発に向けた道を整備できるようにもなる。
こういったことを提案するのはこれら3社が初めてではない。MirantisとCoreOSは2015年、OpenStackがKubernetesをサポートした際に、この方向に向けた取り組みを開始していた。つまり、今回の計画は次の一手として筋が通っていると言えるだろう。
Mirantisの最高マーケティング責任者(CMO)Boris Renski氏は発表のなかで、「コンテナフォーマットの標準としてのDockerと、コンテナオーケストレーションの標準としてのKubernetesが登場したことで、分散アプリケーションの運用に向けた一貫した取り組み手法が見えてきた。KubernetesとFuelを結びつけることで、アップデートをより迅速に適用できる新たな配備モデルという道がOpenStackの眼前に広がり、顧客は今までよりも迅速に成果を手にできるようになる」と述べている。
Googleは、これまでOpenStackの主要プレーヤーではなかったものの、今回大きな役割を果たすことになる。その理由として、Googleの上級製品マネージャーCraig McLuckie氏は、「Fuel上でKubernetesを活用することで、OpenStackは真のマイクロサービスアプリケーションとなり、レガシーインフラソフトウェアと次世代のアプリケーション開発の間に存在する溝が埋められる。多くの企業は、回復力が高く、スケーラビリティに優れたインフラのための土台として、コンテナと洗練されたクラスタ管理を使用することによる利点を享受できるようになるだろう」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。