クラウドの値打ち

「クラウド無法地帯」を阻止せよ--IT部門主導のクラウド活用メリット - (page 5)

戸賀慶 齋藤淳

2016-08-04 07:00

 このクラウド利用の統合管理サービスを利用することは、利用者のみならず、情報システム部門などのシステム管理者においてもメリットが存在する。具体的には、社内におけるクラウドサービスの利用を専用のポータルサイトから申請のみとする規則により、そこで選択可能なクラウドサービスを、セキュリティ面や可用性面等が一定のサービス品質を満たすものに限定することができる。

 これにより、品質の乏しいクラウドサービスが利用されるリスクはなく、かつ専用のフローを介すことで全社での一元管理や運用過程における円滑な支援も可能である。前述したガバナンスの低下を防止し、日々の業務におけるガバナンス向上に加え、万が一セキュリティインシデントが発生した場合においても、迅速な検知と対応が可能となり、独自にクラウドサービスを利用した際に発生しうる問題の予防になるといえる。

情報システム部門が主導するクラウドの活用形態
情報システム部門が主導するクラウドの活用形態

IT部門主導のクラウドサービス活用がメリットを最大化

 今回は「クラウド無法地帯」をテーマとして掲げ、クラウドサービスが好き勝手に利用された場合のリスクやそのリスクを最小化し、クラウドサービスにより享受可能なメリットを最大化するための観点を提言した。そして同時に、情報システム部門に求められる役割の変化と、クラウドサービスの導入に当たっていかにその役割が重要かを説明した。

 加えて、クラウドサービスを個人や事業部門単位で利用することが孕む問題について説明し、その問題を回避しクラウドサービスがもたらす利益を向上させる例を示した。

 クラウドサービスの導入を検討している企業はもちろんのこと、既にクラウドサービスを利用している企業においても、「企業としてのクラウドサービスの利用」について、再考されてはいかがだろうか。

戸賀 慶(とが けい)
アクセンチュア オペレーションズ本部 インフラストラクチャーサービスグループ シニア・マネジャー
サーバ、ネットワーク、ストレージなどのデータセンターテクノロジおよびクラウドを専門とし、現職では企業におけるインフラ全般の最適化に向けたコンサルティング、トランスフォーメーションを担当。 アクセンチュア ジャパンにおけるクラウドイニシアティブのリードとして、クライアント企業にクラウドの真の価値を届けるために日々、奔走。
齋藤 淳(さいとう じゅん)
アクセンチュア オペレーションズ本部 インフラストラクチャサービス シニア・マネジャー
製造業・官公庁を中心に、データセンター統合やITインフラ再編等のITトランスフォーメーション案件のプロジェクトマネジメントを多数手がける。また、IT組織改編を含むIT運用最適化のコンサルティング案件にも従事。現在は、クラウドインフラを活用した次世代のインフラ最適化に向けたコンサルティングを担当している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]