本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米OracleのDavid Donatelle エグゼクティブバイスプレジデントと、ベリタステクノロジーズの星野隆義 インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクトの発言を紹介する。

Oracle David Donatelle エグゼクティブバイスプレジデント
「エンジニアドシステムはハイパーコンバージドシステムと全く違う」
(Oracle David Donatelle エグゼクティブバイスプレジデント)
日本オラクルが先ごろ、Oracle Databaseを搭載した統合システム「Oracle Database Appliance」の廉価版2モデルを国内で提供開始すると発表した。オラクルではハードウェアとソフトウェアを一体化した統合システムを「エンジニアドシステム」と呼ぶ。米Oracleでこの分野の事業責任者を務めるDavid Donatelle(デイビッド・ドナテリ)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同じ統合システムとして最近注目度が高まっている「ハイパーコンバージドシステム」との違いを強調したもいのである。
新モデルは、エンジニアドシステムとして初めてOracle Databaseの標準エディションである「Oracle Database Standard Edition 2」を選択可能とし、中堅中小規模の企業や大企業の部門で利用しやすい価格帯を実現したのが大きな特長だ。さらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではDonatelle氏の冒頭の発言に注目したい。

Oracle Databaseを導入できる3つのシステム形態
同氏は「企業がOracle Databaseを導入する方法は3つある」として図を示した。左が自前でシステムを構築するケース、中央がハイパーコンバージドシステム、そして右がOracle Database Applianceである。同氏はまず左の自前での構築について、「基本的に全ての作業をユーザー自身で行わなければならない。ハードウェアやソフトウェア、ネットワークなど関係するベンダーも多く、管理やサポートも煩雑になる可能性がある」と指摘。次いでハイパーコンバージドシステムについてはこう説明した。
「サーバ、ストレージ、ネットワーク、OSを統合したシステムとして利用されているが、基本的にはインフラベースで、しかもさまざまなベンダーの技術を組み合わせているので統合の深さは不透明だ。少なくともOracle Databaseとの統合が図られていることはない」
それに対し、「エンジニアドシステムはハードウェア、ソフトウェア、ネットワークのコンビネーションが図られており、しかもOracle Database ApplianceはOracle Databaseのパフォーマンスを最大限引き出せるように設計されている。Oracle Databaseを利用されるなら、ぜひOracle Database Applianceをお使いいただきたい」と同氏は語った。冒頭の発言は、こうした話の流れの中で出てきたものである。