早稲田大学電子政府・自治体研究所は8月3日、国際CIO学会傘下の世界主要大学と提携して実施した「世界電子政府進捗度ランキング調査2016」の結果を発表した。今年の1位はシンガポールで、米国、デンマーク、韓国と続き、日本は5位に入った。6~10位はエストニア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国および台湾の順となっている。
2016年度の総合ランキング
今回の調査結果の中で日本は総合5位となったが、部門別指標でみると「政府CIO」及び「電子政府振興」の2項目で2位、「行政管理の最適化」は4位につけている。一方、以下のような課題が浮き彫りになったと指摘している。
- モバイル・ブロードバンドが普及して、モバイル政府樹立が世界の潮流だが、マイナンバーを含むスマホなどの利活用システム化が遅れている。公的個人認証の高度化がカギ
- 政府は東京五輪に向けてサイバーセキュリティ対策に全力投球している。サイバー・テロへ軍事組織が関与している場合もある点を留意すべきである
- 行財政改革の要である電子政府の構築で事務経費の削減ができても、民間ができる人員削減に手が付けられなのは摩訶不思議と言わざるを得ない
- 電子政府普及率・利用率は向上しているが、電子申請といっても磁気テープ保管を優先する役所や役所のPCにて申請させるケースもあり、真の普及になっていない。その点、企業へは紙ベースの申請を廃止して電子申請一本化を5年以内にできないか
- 世界ナンバーワンを標榜する世界最先端IT国家を目指す戦略の中間評価を第3者機関に委ねて実施できないか
- 韓国、米国、シンガポールのように電子政府の国際展開並びにパッケージ輸出に力点を置くべきである
- 日本の電子政府の現状紹介の英語による国際PRや発信力が主要国に比較して不足している
トップ10位の指標別評価
またこのレポートでは、日本に対し、今後に向けた以下のように提言している。
この調査は、世界のICT先進国を中心に65か国を対象として、電子政府・自治体研究所を中心として世界11大学の代表者が調査チームに参画、2回の専門家による分析会合や、国際会議、国際機関(国連、OECD、APEC、ITU、世界銀行、EUなど)並びに関係国政府、研究所などとの意見交換によって集大成されたもの。調査の長編サマリ(日本語)や調査報告書の全文と65の国別分析報告書(英語)は電子政府・自治体研究所サイトに掲載されている。