前回はクラウドについての認識を見直してクラウドを再学習する必要性や、クラウドのメリットを確認しました。今回は、デジタルビジネスとクラウドというトレンドの話から、ビジネスクラウドとも呼ぶべきハイブリッドクラウドの考え方について整理していきたいと思います。
いまやあらゆるビジネスがデジタル化している中、デジタルビジネスを実現していく上でクラウドを活用するというのは非常に有効な手段であると同時に、いくつかのチャレンジも内包しています。
例えば、コストダウンやイノベーション、さまざまな顧客接点における顧客体験管理、すべてをサービス化すること (Everything-as-a-Service)、超大規模な無停止環境、そしてセキュリティとさまざまな種類のクラウドサービス管理です。これらを解決していくにはどのようなものが必要になるのでしょうか。その一つの解がビジネスクラウドと呼ぶべき基盤です。
ビジネスクラウドとは
ビジネスクラウドは5つの特徴があります。
- 「Everything-as-a-Service」を実現するため、インフラ、アプリケーション、データ、プロセスを統合
- 複数のクラウドサービスやオンプレミス環境の把握と透過的な集中管理と自動化
- パブリッククラウドやプライベートクラウドで稼働するアプリケーションの移行や運用、統制
- パブリッククラウドによって担保される高いコスト効率
- リスクを最小化するための強力なガバナンス
複数のクラウドサービスやオンプレミス環境をハイブリッドで使うことは簡単です。一方、その前提として企業におけるITシステムの在り方や統制されたインフラ運用といった青写真をきちんと描き、企業レベルでの活用に十分耐えうる形で整理されたものでなければビジネスクラウドとは呼べません。
ビジネスクラウドを支える全方位的な施策
ビジネスクラウドの実現と運用に向けては4つの観点から取り組んでいく必要があります。
クラウド戦略
ビジネス価値の定義やアプリケーション、サービス、セキュリティ、オンプレミス+クラウドのハイブリッド運用といった観点での戦略立案が主となります。このクラウド戦略立案で特に重要になってくるのがDevOps (ビジネススピードに合わせた開発と運用の連携) と「Everything-as-a-Service (XaaS)」です。
いずれもクラウドで主に語られるコスト低減に寄与するシナリオだけでなく、利益増大や新しい収益チャネルの創出といったプラスを作るシナリオに影響していきます。例えばDevOpsであれば、機会損失を出さずに新ビジネスをサポートする運用を、クラウドを活用したインフラ拡張といった側面からサポートできます。あるいはXaaSであれば、製品売りからサービス課金モデルへのビジネス転換といった攻めのクラウドに寄与していきます。