世界中に点在するコンピュータにデータを分散、非中央集権ネットワークにより、データの破壊や改ざんを困難にするブロックチェーンについてさまざまな企業が実証実験を始めている。仮想通貨や勘定系システムだけでない、社会インフラや企業システムへの展開の可能性を識者が語る。今回は2回目(第1回はこちら)。参加者は以下の6人。
参加者(自己紹介順)
- 小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS 副代表理事 司会)
- 平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
- 大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)
- 川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
- 朝山貴生(テックビューロ 代表取締役所長)
- 杉井靖典(カレンシーポート 代表取締役 CEO)
注目すべきブロックチェーンの事例は何か
平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
小川氏:ブロックチェーンに限らず新たな領域で、日本の会社だと「事例はないのか」と聞かれることが多いと思います。「ブロックチェーンを活用した事例として、こういうものが確立している」ものはないものの、いろいろなチャレンジをしている状況です。注目に値する事例を紹介いただければと思います。
平野氏:国内はみなさん「どこかの事例がほしい」とおっしゃいます。どこも早く行きたいけれど一番は嫌なんです(笑)。そのため、インフォテリアではミャンマーのマイクロファイナンスの銀行で実証実験に成功しました。そこでは、勘定系のどまんなか、マイクロファイナンスのシステムをブロックチェーンを使って構築しています。こちらはプライベートブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」を使っています。
たしかに金融機関はすでにいくつも実証実験をされていますが、実際に使って大丈夫だという事例がたくさん出てくれば、国内でももっと安心していただけると思います。