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量子コンピュータの実用化見据え、求められるセキュリティ--NISTが耐量子暗号の標準策定へ - (page 2)

Steve Ranger (ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-08-22 06:00

 NISTによれば、今後20年間で、現在利用されているすべての公開鍵暗号スキームを破れるだけの規模の量子コンピュータが作られると一部のエンジニアは予想している。現在の公開鍵暗号インフラが完成するまでに、ほぼ20年を要したことを考えれば、これは「量子コンピューティングに耐えられる情報セキュリティシステムを、今すぐ準備し始める必要がある」ことを意味している。

量子コンピューティングの影響
量子コンピューティングの影響
提供:NIST

求められる新たなアプローチ

 多くの暗号アルゴリズムは、従来のコンピュータには大きな数の因数分解を行うことが困難であることを基礎としているが、量子コンピュータはこの処理をはるかに効率的に行うことができる。しかし、別の数学的アプローチを用いれば、量子コンピュータの処理を困難にすることができる可能性があり、研究者はさまざまな難しい名前の暗号を模索している。NISTは、この種の暗号には、格子暗号、符合ベース暗号、多変数暗号、ハッシュ暗号などがあり、その他の提案には、超特異楕円曲線の同種写像の評価や、共役元探索問題、組み紐群に関する問題などに基づく暗号があると述べている。

 NISTは耐量子公開鍵暗号標準の予備的な評価を行う手順を策定中であり、このプロセスは2016年中に完了する予定となっている。NISTはその後、2017年後半までに、耐量子公開鍵暗号、電子署名、鍵交換のアルゴリズムの提案を公募する。その後、3~5年に渡って公開審査が実施されてから、正式に標準が定められる。

 では、新しい暗号アルゴリズムで未来の通信を守れるようになったとして、既存の暗号標準で保護されている古いデータはどうなるのだろうか?将来、これらのデータはリスクになるのだろうか?英サリー大学のAlan Woodward教授は、その可能性は低いと考えている。

 「一部の情報機関は、特定の価値が高い通信データが目を引く標的とならないようにする可能性があるが、一般には、過去のデータよりも新しく生成されるデータの方が脅威になる」と同氏は述べている。

 Woodward氏はまた、リスクの対象となるのは公開鍵暗号のみで、鍵交換にのみ利用されており、また多くの場合forward secrecy(前方秘匿性)を採用するため、セッションごとに鍵が変更されるとしている。

 「暗号化されたメッセージを保存している者がいたとしても、対称鍵暗号方式で暗号化されたメッセージ本体の解読には、量子コンピュータの恩恵は受けられない。このため、メッセージを解読するには、鍵交換をした通信メッセージも保管しておいた上で、どの鍵がどのメッセージと結びついているかも知っている必要がある」(Woodward氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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