筆者は「OpenStack」を気に入っているが、このオープンソースのIaaSクラウドのセットアップは容易ではない。そのためRed Hatを含む複数の企業が、セットアップを支援するOpenStackソフトウェアスタックを提供している。Red Hatと同様に、LinuxディストリビューターのSUSEも独自のOpenStack製品群でこのアプローチを試してきた。そのSUSEが、ピュアプレイのOpenStackに特化するMirantisと提携し、「Mirantis OpenStack」のユーザー向けに、SUSEとRed HatのエンタープライズLinuxのサポートを提供すると発表した。
両社はMirantis OpenStack向けにSUSE Linux Enterprise Server (SLES)の最適化に取り組む。SLESはMirantis OpenStackの開発プラットフォームになる。さらに、SUSEとMirantisは「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」と「CentOS」のサポートにも取り組む。
MirantisはSLESとRHEL、CentOSの現行バージョン向けにサポートとパッチ、アップデートを提供する。サブスクリプションは1年間または3年間で、セキュリティなどのアップデートのほか、電子メールと電話による年中無休のサポート(1時間以内のレスポンスタイムを保証)も含まれる。
Mirantisの共同創設者で最高マーケティング責任者(CMO)を務めるBoris Renski氏は声明の中で、「当社の大規模ユーザーの多くは、2~3種類のLinuxを使用している。今回の提携により、OpenStackユーザーは主要なLinuxディストリビューションのサポートをMirantisから一括で受けられるようになる。さまざまな主要業界で世界中の多くのエンタープライズがSUSEを利用している。SUSEはエンタープライズグレード、高信頼性、確かなサービス品質保証(SLA)を提供するからだ。SUSEとの提携により、Mirantisのユーザーはプライベートクラウド構築の際、そうしたサポートにアクセスできるようになる」と述べた。
SUSEは独自のOpenStackディストリビューションの提供を終了するわけではない。SUSEの戦略、アライアンス、およびマーケティング担当プレジデントのMichael Miller氏によると、ユーザーは今後も「SUSE OpenStack Cloud」とMirantis OpenStackのどちらかを選ぶことができるという。
RHEL、SLES、CentOSはすべて人気の高いOpenStackプラットフォームだが、最も人気の高いOpenStack LinuxであるCanonicalの「Ubuntu」は、今回の新しい提携でサポートされていない。OpenStackをサポートする膨大な数の企業の間で、今後も激しいポジション争いが繰り広げられると筆者はみている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。