根本的な取り組み
しかし両社は、これらの個別の取り組みを超えて、すべての効率性向上アプリケーションをAzure上で開発・ホストする、総合的なプラットフォームの再構築を目指している。この取り組みが視野に収める範囲は広大で、各航空会社だけでなく、乗客もそのメリットを享受することができる。
フライトが時間通りだと思っていたら、最後の最後になってメンテナンスの問題が発生して遅延した経験をした人もいるはずだ。技術者と部品が届いて問題が解決するのを待たされたり、別の機体に乗り換えさせられた人もいるだろう。こういう事態が起こると、乗客は激怒する。こういった事態は、航空会社にとっても高くつき、大きな問題になる。遅延による損害額は大きく、乗員の士気や仕事ぶりに与える影響も小さくない。
さまざまな形で問題を解決するモデル
幸い、こういった問題でも、予測モデルは多くのかたちで役に立つ。予測的保守作業は、運用保守の問題を防止できる可能性を全体的に高める。特定の機体で問題が発生してしまった場合についても、予測モデルを使うことで、問題発生の可能性が高い場所に、適切な部品や人員を配置するのを支援できる。
この仕組みは「混乱管理」(disruption management)と呼ばれており、スケジュールの実行、機材の使用率最適化、乗員のパフォーマンスなどの要素が網羅されている。この作業でもう1つ重要な要素は、機能停止や機材トラブルの問題を緩和するために必要なアクションの最善の組み合わせを決定することだ。機能停止には、航空機や航法用部品だけでなく、乗客の旅を支えるエアコンや各席の照明、フライト中のビデオシステムなどのハードウェアやサービスも含まれる。
すべてを支えるAzure
もちろんこれらのサービスはすべて、本来はBoeingではなく各航空会社が提供するものだ。しかしBoeingは、航空機の製造に加えて、顧客航空会社に営業に必要な管理システムも提供している。
Microsoftは同社のクラウドに「Azure Machine Learning」や「HDInsight」(および「Spark」と「R」)、「Azure IoT Suite」、「Power BI」などのサービスを追加してきた。Boeingは、Azureはフル機能のプラットフォームであり、Azureを使った標準化を進めることができると考えている。Microsoftはデータベース企業であり、エンタープライズソフトウェア企業であり、クラウドコンピューティング企業でもある。この組み合わせはまさしく、Boeingのような企業が、このような広範なパートナーシップを組む相手に必要とされるものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。