内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

グループ/グローバルIT運営の要点--協調関係の成熟度に応じた検討 - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2016-08-18 08:30

協調関係の成熟度に応じた検討

 これまでグループITガバナンスの構築やシステムのグローバル展開においてプロジェクトが頓挫したり、大きな見直しを迫られたりした事例を振り返ると、本社IT部門と各事業体の協調関係の未成熟が原因となっていることが多いことに気づきます。

 さまざまな施策を検討する際も、グループ全体の視点と各事業体単独の視点では、コストの面でも得られるメリットの面でも利害が一致しないことが多く、互いの状況を理解し合わなければ、協力して進めることはできません。

 例えば、前述のシェアードサービス化やシステム共通化に関する方針を打ち出したり、計画を立案したりするには、最低限レベル2の情報共有がなされている必要があります。もし、本社が各事業体の状況をまったく把握していなかったり、各事業体が他の事業体の状況をまったく知らなかったりといった段階(レベル0または1)でシステムの共通化や共有化の議論を進めようとしても、なぜそのような議論が必要であるのかさえも理解されないでしょう。

 また、実際にこうした施策に取り組もうとする際には、各事業体の状況を踏まえた方針や計画が策定され、それが共通認識となっていることが必須条件となりますが(レベル3以上)、IT人材やノウハウが不足している事業体があるとすれば、本社IT部門から支援するなど、協調して推進する体制を構築する(レベル4)ことが望ましいと考えられます。

 このようにITのグローバル化対応やグループを視野に入れたシステム展開を検討したり、IT投資やセキュリティ管理などに関するITマネジメント上の制度やルールを設定したりする際には、本社と各事業体との協調関係に着目したIT運営の成熟度に応じた進め方が求められるのです。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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