海外コメンタリー

25周年を迎えたLinuxの今と未来への提言--The Linux Foundationのゼムリン氏ら講演 - (page 3)

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-08-26 06:00

 Linuxの第1世代は、プロプライエタリなソフトウェアを模倣し、より安価で入手しやすいものにするという作業がすべてだった。しかし、状況は変わった。同氏は「今日のLinuxは過去を模倣するというものではない。未来を定義するものなのだ」と付け加えた。

 それは既に実践されている。ホテル業界やタクシー業界に革命をもたらしたAirbnbUberといった革新的な企業は、Linuxとオープンソースソフトウェアを基盤にしている。

 Linux革命はまだ終わりを見せる気配がない。Zemlin氏の後に登壇した科学エヴァンジェリストのAinissa G. Ramirez氏は、テクノロジが人間をどのように変えていくのかについて講演した。同氏が挙げた例は、「テクノロジは法制度よりも速いスピードで変化していく。想像できないのであれば、『Pokemon GO』をプレイしている人々の生活がどのように変わったのかを考えてみてほしい。このゲームは4週間前には存在していなかった」というものだ。

 ユーモアあふれる例はさておき、同氏はテクノロジがどういった変化をもたらすのか予測できないという点を指摘した。アメリカンフットボール用の最新式ヘルメットによって脳しんとうの事例が増加したという例が挙げられる。なぜだろうか?このようなヘルメットの装着により、選手はタックルの際に頭からぶつかっていくようになったためだ。詰まるところ、安全対策によってゲームがより危険なものになってしまったのだ。

 このため、Linuxの次の25年で開発者らが築き上げる成果に関してRamirez氏は、開発者らが考えている以上に自らの成果が大きな影響を及ぼすという点を自覚するよう促している。つまり開発者らは世の中をより良くするためのテクノロジを生み出す必要がある。同氏は「私がお願いしていることは簡単ではないかもしれない。しかし、世界の変革が簡単であるわけはないのだ」と結論付けた。

 Linuxは既に世界を変えてきている。そして、これからも変え続けていくということは断言できる。従って、プログラマーには自らのコードを改善するだけではなく、世界をより良くしていくという義務が課されるのだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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