小売業で世界的に進む改革の方向性--オムニチャネルにフォーカスするSAP - (page 2)

末岡洋子

2016-08-26 08:47

--小売業が抱えている最大の課題はなにか?

 在庫情報と顧客の360度のビューがないこと。すぐれたコンテンツがないことなどが挙げられる。

 まずは在庫だが、顧客の多くがどこに在庫があるのかわかっていない。信じられないようだが、これが現実だ。特に既存の小売業がオンラインにも拡大して店舗でピックアップサービスを提供している場合、古いやり方では限界がある。10人の顧客が店舗でピックアップを選択したとしても、全員が店に来ないかもしれない。こうなると補充に影響が出てくる。

 顧客を知るために各小売業はロイヤリティープログラムを展開しているが、パーソナライゼーションが大切だ。これをどうやって実現するか。ウェブページでのブラウジング情報をもとにするといっても、欧州ではウェブ(オンライン)の売り上げはわずか5%であり、不十分だ。

 顧客を知っているだけでも不十分になっている。少なくとも欧米では、56%の意思決定は、店舗に入ったときに既になされている。この5年で店舗に足を運ぶ数は減ったが、店に入る顧客の一人当たりの売上高は2.6倍になった。これらから言えることは、人々は店に入る前にかなりの意思決定をしている、ということだ。そこで重要になるのが、コンテンツだ。正しい商品や写真をウェブ、モバイル、キオスクなどを通じて配け、顧客の意思決定に影響を与える必要がある。

 SAPとHybrisとでこれらの課題をすべて解決できる。中でも、SAP Hybris as a Service(YaaS)としてクラウドベースのマイクロサービスエコシステムの構築も進めている。YaaSは技術的革新ではあるが、技術メリットよりも、柔軟性の高いコンシューマー向けのフロントエンドを提供できるというビジネス上のメリットからとらえるべきだ。ロイヤリティー、ペイメントなどさまざまなサービスを通常のソリューションに組み込むことができ、新しいイノベーションが可能となる。

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