「情報通信白書」最新版を読む

ICTの非貨幣的価値とは--「情報通信白書」を読み解く(1) - (page 3)

田島逸郎

2016-09-06 07:00

まだまだ重要なスマートフォン、ソーシャルメディア

 IoTなどはユーザーにさらなるサービスを提供しつつある。その基盤となっているのは、今のところはスマートフォンやソーシャルメディアだと考えられる。これらの利用の現状について、国際比較と利用意向を中心にまとめる。

 まず、スマートフォン及びそれを利用したサービスの普及は未だ続いている。日本では、8割から100%に近い米国、ドイツ、中国などと比べて6割程度とスマートフォンの普及率が低い。一方で、従来型のフィーチャーフォンは若者から高齢者まで4割のユーザーに広く利用されている。

 一方で、スマートフォンの普及に寄与すると考えられる、安価なサービスを提供する「格安スマホ」(スマートフォンではなく、仮想移動体通信事業者を指す)の利用については、「既に利用している」の割合は英国、ドイツ、韓国と同程度であるものの、海外に比べて利用意向は少ない。

 MVNOを「利用しない理由」については、通信品質やサポートなどへの不安が世界的に同程度であり、日本ではむしろ「月額料金が高くなることがある」「サービス内容をよく知らない」「事業者についてよく知らない」が他の国に比べて少ない。このため、日本では格安スマホへの理解度そのものは高いとみられる。

(総務省)
普段、私的な用途のために利用している端末 出典:「平成28年版情報通信白書」(総務省)
(総務省)
いわゆる格安スマートフォンのデメリット・利用しない理由 出典:「平成28年版情報通信白書」(総務省)

 スマートフォンでのサービスの利用については、ソーシャルメディア、ネットショッピング、情報検索、地図・ナビゲーションなどは、高齢者の利用に違いがあるものの既に世界的に普及しているといえる。一方、電子書籍、クラウドサービスなどの新しいサービスは特に日本で普及が遅れている。

 テレビ、新聞などと比較したインターネットの利用については、日本では特に「信頼できる情報を得る」側面でインターネットと答えた割合が低い。実際に、各メディアの信頼度については、ソーシャルメディア、動画サイト、ブログなどの信頼度が海外に比べて顕著に低い。ソーシャルメディアの利用状況については、Twitter、YouTubeに関しては海外と同程度に利用されている。Facebookの利用は多少低い。

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