——振り返ってみて、特に意義のあるリリースはどれだったのでしょうか?
個人的には、初めてセルフホスティングが可能になった0.03を大きな進歩と捉えています。また0.12を挙げることもできます。このリリースで、Linuxが一部の人々にとってようやく使いものになり、限定的とはいえ現実世界の作業ができるようになったのです(これが先ほど述べた「おぉ、知らない人たちが使っている」と感じた時です)。正直な話、このリリースを使いこなすにはかなりのスキルが必要だったのですが、それでもアクティブなカーネル開発者たちが集まってきていました。
しかし現実的な目で見た場合、万人にとって「意義のある」リリースはそのずっと後になります。1.0が常にマイルストーンになるのは明らかですが(そしてわれわれの場合、1.0に到達するには何年もかかりましたが)、多くの点で本当に意義のある出来事はリリースによって生み出されたのではなく、すべてサポートを開始した企業によって生み出されてきています。ここでは単にOracleやIBMといった大手企業の発表を指しているのではなく、ずっと初期の出来事、例えば(とても小規模ですが)1992年に初めてフロッピーによる商用ディストリビューションが生み出された時といった、リリースとは間接的にしか関係のないような出来事を指しています。
——わたしはずっと、2001年における「Linux 2.4」のリリースが大きな出来事だったと考えていました。というのも、このリリースでクラスタリングやマルチプロセッサが本格的にサポートされ、RAM容量も大幅に増強されたためです。
Linuxは、OSの理論と実践に手を染めていなければ使えない状態から、今日のような状態にまで進歩してきました。その過程で手を貸してくれたのは、どういった人なのでしょうか?
1人の「誰か」だとは考えていません。すべてはテストをし、機能を要求し、モチベーションを保たせてくれた人々です。コミュニティーに参加し、パッチを送ってくれた本当の意味でのアーリーデベロッパーもいました。また、MCCやTAMU、SLS、Slackwareなど、最初のディストリビューションを作り出してくれた人々もいました。その後、さまざまな大手企業が手を貸してくれるようになったのです。
本当にたくさんの人々でした。