効率性の追求が硬直化を引き起こす
効率性を求めるということ。これはビジネス上、不可欠なことである。
効率性のゴールは、仕事上の型を作ることである。型を作ることで、誰がやっても同じように仕事を回すことができるようになる。 その型が会社のビジネスの中心的存在になってくると、さらにその型の上に別の型を作り上げていく。
そうなってくると、さらにこの型に変更を加えることは難しくなってくる。 これをわれわれは「定型硬直」と呼んでいる。
旅館業界で起きていたことはこれだ。旅館の中にさまざまな型があるが、土産物に関してはリストから選んで注文するだけという型ができ上がった。誰だってこれを使いたくなる「型」だった結果、これが日本中に浸透した。
そして時代は変わった。時代が変わった時、“定型”は成長を妨げる主要因となる。
FAXで客を集める電気屋
とある電機屋さんの話をしよう。 その電気屋は、小さいながらもさまざまな商品を売っていた。FAXを営業ツールとして使っていて、定期的にセールス情報をクライアントに投げかけているという。
その電気屋さん、最近、客集めに苦労しているという。言うまでもなく、理由はFAXを使っている人が減ってきたからだと……。火を見るよりも明らかな結論だが、こうした昭和期のまま時間がストップした事業者は全国にいる。
FAXによるセールス情報の拡散という仕組みを作ったのは20年近く前のこと。そのころはFAXを使っている人も多くいただろう。しかし、今やインターネットの時代。もっと効率の良い方法がありそうな気がする。どうして変えられないのだろう。
人の好さそうな初老のオーナーに聞いてみた。 「いや、まだFAXで全く客が集められないわけじゃないんですよ。だからやめるわけにはいかない。インターネット?そんなもの、この年になって始めるのは大変だから……」
「定型硬直」の典型である。われわれは地方の事業者と多くお付き合いが、こういう例は、全国で枚挙にいとまがない。