IT市場は国内GDPの5%、パートナーの5%市場からの飛躍を支援:JPC 2016

取材・文:阿久津良和 構成:羽野三千世 2016年08月31日 07時00分

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 日本マイクロソフトは8月30日、パートナー向けカンファレンス「Japan Partner Conference 2016 Tokyo」を都内で開催した。このイベントは、同社のパートナー企業、およびパートナーになることを検討中の企業に対して、2017年度(同社会計年度の2016年7月~2017年6月)の経営戦略や最新の製品サービス、販売促進支援策などを紹介するものだ。


日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏

 基調講演は「パートナー様と共に推進するデジタルトランスフォーメーション」をテーマに、パートナー企業各社と日本マイクロソフトが協力しながら、顧客のデジタルトランスフォーメーションを推進する取り組みや課程について語られた。

 登壇した同社 代表取締役 社長の平野拓也氏は、同社にとっての2016年度を「日本でもグローバルでも変革の年だった」と振り返った。オンプレミスからクラウドへ収益構造が変わり、2015年度は12%だったクラウド分野の売上比率が、2016年度には21%、2016年度第4四半期には32%にまで拡大した。「2017年度は50%を目指す」(平野氏)という(これは、7月の新年度経営方針説明会で示した目標値から変わっていない)。


1905年のニューヨークの写真。そこら中に馬車が走っている

それから20年後のニューヨーク。ガソリン自動車が普及している。クラウドもこれと同じだと平野氏は説明する

 第4次産業革命と言われる市場の現状について平野氏は、まず1905年のニューヨークの写真を提示し、「当時は農作物の25%が(馬車を引く馬の)飼料に使われていたが、約20年前となる1886年にはガソリン自動車が誕生している」(平野氏)と説明。このように当時のニューヨークは、既に存在する技術が浸透していなかった。続いて、20年後1925年の同じ場所はガソリン自動車が多く並んでいる写真を示し、「このように変革は進んでいくが、地球上にあるテクノロジが皆に届いていないのが現状。だからこそ、まずはクラウドのテクノロジを皆に使ってもらい、皆がメリットを享受できるように取り組んでいきたい」(平野氏)

 次に平野氏は、日本の国内総生産(GDP)の構造を提示した。日本のGDPは、約5%がIT分野、約20%が人件費など、約60%がモノ/サービスの製造、その他が約15%の市場を形成しているという。

 今後、クラウド技術が広まり第4次産業革命が成立すると、IT企業はこれまでアクセスできなかったドメインにリーチできるようになる。特に、モノ/サービスの製造のドメインは約506兆円(2016年名目GDP)の60%(約303兆円)という大きな市場であり、この市場に関与していくことが同社およびパートナー企業にとって最も重要なことだと述べた。そのためには、「これまでと異なるビジネスと提案が必要になる」(平野氏)

パートナー支援専門組織「PDU」を新設

 パートナー企業が、国内GDPの5%であるIT分野にとどまらず、60%のモノ/サービスの製造分野などへとビジネスを拡大するための具体的な支援策として、パートナーのクラウドビジネス推進を支援する専門部隊「Practice Dev Unit(PDU)」を新設したことを発表した。PDUは、「Practice Dev Professional」と呼ばれる営業部隊と、「Cloud Solution Arcitect」と呼ばれるAzure専門の技術部隊とがチームを組み、パートナーのクラウドビジネスを支援する組織だ。グローバルでは300人、国内は20人の体制を目指すという。


パートナー向け支援施策の内容

 また、10月3日から「Advanced Support for Partners」という新しいパートナープログラムを開始することも発表された。こちらはMicrosoft AzureやOffice 365、Dynamics CRM Onlineを対象とした重大問題について、1時間未満でサポートアドバイザーが対応するサービスである。従来もパートナー向けのサポートプログラムはオプションとして用意していたが、Advanced Support Partnersは、中小規模企業でも利用しやすい料金で提供するという。

 さらに平野氏は、AzureやOffice 365、Power BIなどを用いてパートナーが開発したSaaSをカタログ化して提供するプラットフォーム「AppSource」、AppSourceなどに展開したパートナー開発のSaaSにエンドユーザーが自社データを簡単に持ち込める「BYOD(Bring Your Own Data)」、パートナーに対してWindowsやSurfaceの提供形態の幅を広げる「Windows 10 E3」「Surface as a Service」を紹介。これらの総合的なパートナー支援策が生み出す結果として、CSP(クラウドソリューションプロバイダー)参加企業を、現在の600社から1200社へ増やすことを目標に掲げた。

パートナー企業各社のトップも登壇


協和エクシオ 取締役常務執行役員 大坪康郎氏

 基調講演では平野氏以外にも多くのゲストが登壇した。通信建設などを広く扱う協和エクシオ 取締役常務執行役員 大坪康郎氏は、コネクティビティの重要性を語り、「コネクティビティがフルに活動・機能してこそクラウドは本領を発揮する」と語った。協和エクシオでは、ネットワークとクラウドの両方のスキルを持つハイブリッドエンジニアを2018年までに2000人を目標に育成し、MicrosoftやCISCOの資格を取得させている。


レッドハット 代表取締役社長 望月弘一氏

 レッドハット 代表取締役社長 望月弘一氏はOSSの重要性と2017年の方針を示しつつ、Microsoft AzureをキーとしたITモダナイゼーションや、AzureマーケットプレイスによるRed Hat Enterprise Linuxの提供について、「顧客・市場から高い評価を頂いている。アイキューブドシステムズなど導入例も多い」(望月氏)とアピールした。また、日本マイクロソフト&レッドハットによるパートナーエコシステムの拡大を目指し、「(パートナー企業を加えた)3社で協力してパッケージと使い勝手の良いソリューションを目指す」(望月氏)と述べている。


富士ソフト 代表取締役 社長執行役員 坂下智保氏

 フロントエンドAIとなる富士ソフト製ロボット「Palro(パルロ)」とクラウドAI、BOTを組み合わせた製品サービス事業を発展させてきた富士ソフト 代表取締役 社長執行役員 坂下智保氏は、「AI技術がすべての分野を推進させる存在になった。今後はAI技術を踏まえたビジネスソリューションを進めていく」と方針を語った。既に金融業界向けにターゲット顧客の検出効率を向上させるソリューションや、製造業向けにラインの生産データを取り込んで不良品検知率を改善させるソリューションを検証中だという。


マウスコンピューター 代表取締役社長 小松永門氏

 マウスコンピューター 代表取締役社長 小松永門氏は、北國銀行の全行員2400人にWindows 10 Mobileデバイス「MADOSMA Q501A」を導入したことに触れて、「モバイルデバイスとPCがシームレスにつながるのが重要」と語った。また、マウスコンピューターでは、Windows Helloの顔認証・指紋認証デバイスの開発に取り組んでいるという。

 その他にもMicrosoft ASIA President and Microsoft CVPのRalph Haupter氏も登壇。自身がドイツ国籍を持つことから、日本と多くの文化的な共通性が感じられると述べ、「今後は国境を越えたクラウド技術を使い、パートナー企業の海外進出もお手伝いしたい」(Haupter氏)と語った。


日本マイクロソフト 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏

 日本マイクロソフト 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏の登壇シーンでは、Windows 10の新たなセキュリティシステムである「Virtualized Based Security」がLSASS(Local Security Authority Subsystem Service)から平文パスワードを取得するツール「mimikatz(ミミカッツ)」による攻撃に耐えるデモや、感情認識や音声認識など各種Cognitive Servicesのデモなどが披露された。

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