松岡功の一言もの申す

製造業向けIoT基盤のスタンダードを目指すファナックの挑戦

松岡功 2016年09月01日 12時14分

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 ファナックがこの4月に発表した製造業向けIoT(Internet of Things)プラットフォームの普及促進に向けて本格的に動き出した。この分野で世界のデファクトスタンダードを目指す同社の挑戦が始まった。

パートナーエコシステムの“キックオフ”を実施

 ファナックが先ごろ、製造業向けIoTプラットフォーム「FANUC Intelligent Fdge Link and Drive(FIELD)system」のパートナー企業向けイベント「FIELD system Partner Conference」を都内ホテルで開催した。

 同社がこの4月に発表したFIELD systemは、米Cisco Systemsなどと共同で、IoTや人工知能(AI)などの先進技術を駆使して、工場の生産効率を向上させるシステムである。

  Ciscoおよび制御機器大手の米Rockwell Automation、東京大学発のベンチャー企業で深層学習などのAI技術を手掛けるPreferred Networks(PFN)の3社と共同で、ファナックが提供するコンピュータ数値制御装置(CNC)やロボットのみならず、周辺デバイスやセンサを接続して工場の生産活動を最適化するための分析基盤を実現するとしている。

 ファナックは今回のイベントで、パートナー向けにFIELD systemのAPIを公開。これにより、パートナーはFIELD systemを活用したアプリケーションを開発できるようになる。同イベントには現時点で240社を数えるパートナーやユーザー企業から500人以上が出席。まさしくFIELD systemにおけるエコシステムの“キックオフ”の場となった。

パートナーエコシシテム
FIELD systemのパートナーエコシシテム。今年7月にはNTTグループとの協業も発表した
パートナーエコシステムの仕組み
FIELD systemのパートナーエコシステムの仕組み

パートナー企業向けイベントの懇親会で挨拶に立つファナックの稲葉善治社長

 技術説明会の後に開かれた懇親会で挨拶に立ったファナックの稲葉善治社長は、FIELD systemに取り組んだ背景について次のように語った。

 「当社は創業以来60年にわたり、製造業の自動化・ロボット化に絞って事業活動を行ってきた。これまでに350万台を超えるCNC、および40万台を超えるロボットを世界市場に出荷しており、両分野でトップシェアを獲得している。また、グローバル化が進む市場に対応し、46カ国で250カ所を超える事業拠点を設立し、世界のお客様をサポートしている。この結果、当社のFA機器は世界中のの製造現場で自動化・ロボット化を通して、製造コストの削減や品質向上にお役に立っていると自負している」

「Industrie 4.0」を強く意識したFIELD system

 さらに、こう続けた。

 「しかしながら、昨今のIoT技術の発展に伴い、製造現場にIT革命が起こりつつある。すなわち、これまでのように個々の製造現場の自動化・ロボット化を進めるのではなく、工場にあるすべての工作機械やロボットがネットワークで結ばれ、巨大な生産システムとして生産性向上や全体最適化が図られようとしている。当社こうした動きを象徴する(ドイツが推進する)Industrie 4.0や(米国が主導する)Industrial Internet Consortium(IIC)といった、IoTにおける世界の大きな潮流に対する回答としてFIELD systemを打ち出した」

 ファナックのこれまでの実績も含めて分かりやすい説明だったので、少々長めになったが、FIELD systemに取り組んだ背景にまつわる稲葉氏の話をほぼそのまま記した。中でも印象深かったのは、Industrie 4.0やIICの動きを強く意識していたことである。

 この点については、今回のイベントでFIELD systemの内容を詳しく説明した同社の稲葉清典 専務取締役ロボット事業本部長も、「パートナーの皆様の力をお借りしながら、FIELD systemを日本から世界へ発信していきたい」と力を込めて語っていた。

 懇親会では、経済産業省製造産業局の糟谷敏秀局長が来賓として挨拶し、日立製作所の東原敏昭社長が乾杯の音頭を取った。とくに糟谷氏が挨拶の中で、「日本の製造業の強みは現場力にある。強い現場を持つ日本の製造業においてFIELD systemを活用し、競争力を一層高めていけることを期待している。政府としてもいろんな形で支援していきたい」と語ったのが印象的だった。

 さらに、同イベントにはユーザーの立場で、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ、ヤンマーといったそうそうたる企業も参加。FIELD systemへの期待の大きさをうかがわせた。キックオフとしては非常に迫力のある同イベントだったが、果たしてFIELD systemを製造業向けIoTプラットフォームにおける世界のデファクトスタンダードに育て上げることができるか。ファナックの大いなる挑戦に注目しておきたい。

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