本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、トレンドマイクロの大三川彰彦 取締役副社長と、日本HPの九嶋俊一 執行役員の発言を紹介する。
「守るべきは“情報資産”。データに着目した保護に注力すべし」 (トレンドマイクロ 大三川彰彦 取締役副社長)

トレンドマイクロの大三川彰彦 取締役副社長
トレンドマイクロが先ごろ、セキュリティソフト「ウイルスバスター」シリーズの最新版を提供開始すると発表した。大三川氏の冒頭の発言はその発表会見で、最新版で新たに搭載したランサムウェア(身代金要求型マルウェア)に対応した機能における取り組み姿勢を語ったものである。
大三川氏によると、最新版ではランサムウェアに対応した新機能をWindows版に搭載したほか、モバイル向けにLINEなどのコミュニケーションツールに対応した新機能を追加したという。
同社の調査によると、国内の個人ユーザーにおける2016年上期(2016年1~6月)のランサムウェアの検出台数が前年同期比約7.2倍と過去最大の被害を記録。また、国内で検出しているランサムウェアの半数以上が、破壊的かつ悪質化する新種であることも確認されており、今後も被害の拡大が懸念されている。

ランサムウェア被害の実情
こうした状況に対処するため、最新版では指定したフォルダに対するアクセスを監視し、正規のプログラム以外のアクセスを防止することで、ランサムウェアがデータを暗号化することを防ぐ「フォルダシールド」機能を新たに搭載。また、正規のプログラムに偽装する不正プログラムを検知する機能も新たに搭載している。
一方、モバイル版では、Android向けにLINEやWhatsAppなどのコミュニケーションツールでやりとりされるメッセージ上で、フィッシング詐欺サイトや不正アプリのダウンロードサイトなどの不正なURLが送受信されることを防止する「メッセンジャーセキュリティ」機能を新たに搭載。
また、利用するWi-Fiの暗号化強度が低い場合や、パスワードが設定されていない場合に警告を表示する「Wi-Fiチェッカー」機能も新たに搭載している。