大三川氏によると、最新版の投入に向け、個人ユーザーの利用環境を踏まえて、「データに着目した保護」「モバイルユーザーへのアプローチ強化」「サポート提供機会の拡大」といった3つのアプローチを図ったという。冒頭の発言は、このうちデータに着目した保護における取り組み姿勢を語ったものである。
ウイルスバスターは個人向けのセキュリティソフトだが、今回の最新版での強化ポイントになったランサムウェアおよびモバイルへの対応は、企業におけるセキュリティ対策でも最前線の動きで喫緊の課題となっている。その意味では、大三川氏の冒頭の発言は、企業にとっても肝に銘じておくべき取り組み姿勢といえそうだ。
「これからはPCもサービスとして利用するようになる」 (日本HP 九嶋俊一 執行役員)
日本HPの九嶋俊一 執行役員
日本HPが先ごろ、PC本体およびPCライフサイクル管理を一元化し、月額固定制のサービスとして提供する「HP Device as a Service」を国内で提供開始すると発表した。日本HPの執行役員でパーソナルシステムズ事業本部長とサービス・ソリューション事業本部長を兼務する九嶋氏の冒頭の発言は、その発表会見で、PCもクラウドサービスのように利用する時代が来ると見越して新サービスを投入したことを強調したものである。
HP Device as a Serviceは、業務に必要なPCのテクノロジとサポートを効率的に導入し、PCを購入して「所有」するのではなくサービスとして「利用」するという新しいコンセプトによるサービスである。そのライフサイクルサービスの主なメニューは図に示した通りである。発表内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは九嶋氏が語った新サービスによる5つのユーザーメリットに注目したい。
HP Device as a Serviceにおけるライフサイクルサービスの主なメニュー
まず1つ目は「費用の平準化」である。新サービスは契約期間を通して費用を平準化できるため、予算計画・管理が容易になる。買い取り時の初期導入コストなども平準化される。2つ目は「オフバランス処理」。資産を持つITサービスではなく、サービスとして資産を活用するモデルのため、オフバランス処理となりバランスシートのスリム化が可能となる。
3つ目は「陳腐化リスク低減」。用途に応じたモデルの選定やその使用年数の選択・組み合わせが可能なため、デバイスが陳腐化しないよう期間設定し、ユーザーの生産性確保に貢献する。4つ目は「ライフサイクルサービス」。顧客の要望に合わせたライフサイクルサービスの提供により、煩雑な機器の運用管理や廃棄をメーカーとして責任をもってサポートする。5つ目は「アカウントサービス」。顧客ごとに対応したアカウントSEが、各種管理レポートやさまざまな課題の解決にあたる。
九嶋氏によると、「PC本体およびPCライフサイクル管理を一元化し、サービスとして提供する仕組みは、おそらく国内で初めてとなる」とのこと。とはいえ、時流に乗ったサービスなので、今後、資本力のあるクラウドサービスベンダーなどが参入してくる可能性もありそうだ。あるいは、そうしたベンダーがHP Device as a Serviceを適用することも考えられる。
顧客ごとでサービス内容が異なるので、コストメリットは明確に示されなかったが、適用事例が出てくれば、ぜひとも開示してもらいたいものである。