「Apache OpenOffice」を開発する団体が、同オープンソースオフィススイートのセキュリティ脆弱性への対処に必要なリソースの不足を理由に、同プロジェクトを正式に終了する計画を検討し始めた。
「What Would OpenOffice Retirement Involve?」(OpenOfficeの開発が終了したらどうなるのか)と題された電子メールの中で、Apache OpenOfficeのバイスプレジデントを務めるDennis Hamilton氏は、セキュアなソフトウェアを開発する同プロジェクトの能力に懸念を表明し、緊急時の対策として開発終了を提案した。
「Apache OpenOfficeのケースでは、アップデートで緩和されないセキュリティ脆弱性を開示しなければならないことが、深刻な問題になっている」(Hamilton氏)
「このプロジェクトをまとめている数人程度のボランティアを補助できる能力と資質、意思を持つ開発者をすぐに補充することはできないというのも、熟慮した上での私の考えである」(同氏)
Apache OpenOfficeは、「OpenOffice.org」から派生した最も新しいオープンソースオフィススイートだ。OpenOfficeは、2000年代中頃に「Microsoft Office」の代替品としての地位を確立した。最新バージョンでは新しいユーザーや開発者の獲得に苦労している。
Ars Technicaによると、元OpenOffice.orgの開発者の多くはThe Document Foundationの「LibreOffice」の開発に移行したという。LibreOfficeは2015年に14回のバージョンアップデートを行ったのに対し、Apache OpenOfficeのバージョンアップデートは2015年10月に行われた1回だけだった。そのアップデートで、OpenOfficeはバージョン4.1.2になった。
敗北を認めて、ユーザーに人気の高いLibreOffice(Apache OpenOfficeから派生)への移行を促すことをApache OpenOfficeのプロジェクトリーダーに求める声もあるようだが、すぐに現実になるかもしれない。
Hamilton氏はOpenOfficeのセキュリティを確保する同プロジェクトの能力に懸念を抱いており、先頃それを裏付ける出来事も起こっている。バージョン4.1.2に影響を及ぼし、悪用されれば任意のコードを実行されるおそれのあるバグについて、詳細なセキュリティアドバイザリが7月に公開された。その時点ではパッチもホットフィックスも提供されておらず、OpenOfficeはLibreOfficeや「Microsoft Office」で代用するといったさまざまな次善策を推奨した。ホットフィックスは8月30日にようやく公開された。
提供:Apache OpenOffice
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。