こんにちは、さとうなおきです。「週刊Azureなう」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Azure Functionsプレビューのアップデート
Azure Functionsは、C#、Node.js、Pythonなど、さまざまな言語で書かれた「関数」(小規模なコード)をイベント駆動型で実行できる、サーバーレスアーキテクチャのサービスです。Azure Functionsは、今年3月に開催されたBuild 2016カンファレンスで発表され、パブリックプレビューとなっていました。
今回、Azure Functionsのバージョン0.5がリリースされました。主な新機能は、次の通りです。
- F#のサポート
- Node.js:v5.9.1からv6.4.0へのアップデート
- HTTPトリガー:リクエストボディ、クエリ文字列のバインディング
- Event Hubsトリガー:maxBatchSize、prefetchCountの構成
- C#パッケージ復元機能:自動復元
- ロギングの改善
- ファイルウォッチャー:監視先の構成
- context.bindingDataプロパティ:アッパーキャメルケースからローワーキャメルケースに変更
Twilioのサポート
また、AzureポータルにおけるAzure Functionsのサポートもアップデートされ、日本語へのローカライズも行われました。
AzureポータルでのAzure Functions
詳細は、Azure App Service Team Blogのポスト「Azure Functions 0.5 release & August portal update」、GitHubで公開されているFunctions 0.5.10398 (1.0.0-beta1-10398)のリリースノートをご覧ください。
リープヘルのスマート冷蔵庫
Microsoftとリープヘル(Liebherr)の家電部門が、次世代のSmartDeviceBoxの開発で協力しています。SmartDeviceBoxは、リープヘルの冷蔵庫に設置する、インターネット接続を可能にする通信モジュールです。
リープヘルの将来の冷蔵庫では、内部カメラと物体認識技術を活用して、スマートフォンのアプリで、冷蔵庫内の食品の一覧をどこからでも確認できるようになります。
2015年のImageNet物体検出チャレンジでの優勝していることからも分かるように、Microsoftは画像処理のための高度なディープラーニング技術も持ってます。この技術は、Microsoft Cognitive ServicesのComputer Vision APIでも活用されています。このディープラーニングのアルゴリズムは、オープンソースのComputational Network Toolkit(CNTK) で公開されています。Microsoftの人工知能 (AI)技術の活用例として興味深いものですね。
冷蔵庫内の食品の自動検出
詳細は、Cortana Intelligence and Machine Learning Blogのポスト「Microsoft and Liebherr Collaborating on New Generation of Smart Refrigerators」をご覧ください。
PCI DSSの対象サービス拡大
Payment Card Industry(PCI)Data Security Standards(DSS) は、クレジット カードのデータを安全に管理して不正利用を防ぐ目的で策定されたグローバル情報セキュリティ基準です。Azureでは、PCI DSS監査を毎年実施しています。
3月にリリースされていたコアAoC(Attestation on Compliance)に加えて、今回、アドオンAoCがリリースされました。このアドオンAoCでは、新たに次のAzureサービスがカバーされました。これによって、40以上のAzureサービスがカバーされたことになります。
- IoT Hub
- Service Fabric
- StorSimple
- API Management
- Operations Management Suite
- Azure Automation
- Log Analytics
- Azure Backup
- Azure Site Recovery
- Microsoft Intune
- Azure Container Service
- Stream Analytics
Power BI
詳細は、Microsoft Trust CenterのPCI DSSのページをご覧ください。日本語ページもありますが、翻訳が追いついていないので、最新情報は英語ページをご確認ください。
Microsoft Trust CenterのPCI DSSのページ
それではまた来週。
- 佐藤直生 (さとうなおき)
- 1999年から、OracleでJava、アプリケーションサーバ、開発ツールなどのエンジニア/テクニカル エバンジェリストを担当後、2010年9月にMicrosoftに入社。Microsoft Azureの黎明期からエバンジェリスト/テクノロジストとしてAzureを担当。オライリーなどの技術書の監訳、翻訳も多数。 ブログ: https://satonaoki.wordpress.com/ Twitter: https://twitter.com/satonaoki