<Step 4>Cloud journeyの策定
Step2、3を踏まえて、ビジネス上の価値、難易度をもとに、どのような施策を、どの優先度で実施するかを定義、ロードマップ化し、Cloud Journeyを策定する。
(1)施策の整理
各施策のビジネス上の価値、難易度をもとに、施策を整理することから始め、各施策のビジネス上の価値の見極めにあたっては、コストなどの定量的な効果に加え、定性的な効果を含めて試算する。
ビジネス上の価値は、企業のビジネス戦略に合致した施策の効果であり、コストばかりに気をとられがちであるが、重要なことは自社のビジネスにどれだけ貢献できるかである。また、施策の難易度(効果が出るまでの時間・効果を出す施策完遂の困難さ)も併せて定義し、全施策を整理する。
(2)優先度の見極め・Cloud Journey策定
各施策の優先度の定義にあたっては、自社のビジネス戦略に合致させること、現状のリソースを踏まえたときに効果が最大化されるタイミングをもとに、施策の優先度を定義することが必要となる。ビジネスの状況を踏まえて、実施するタイミングを定義し、企業全体としての取り組みを明らかにする。
冒頭にも述べた通り、Cloud Journeyは、単なるシステムの更改だけでなく、Step3で検討したオペレーションの変革なども含めたロードマップを描く。
優先度の見極め、Cloud Journey化のイメージ
おわりに
今回は、クラウド利用における価値の再認識と、クラウド利用価値の最大化に向けたCloud Journeyについて述べた。
これまでクラウドの検討を行ったが効果がなかったという場合や、検討を開始した/しようとしているが、どうやって推進するかが煮詰まっていないような場合は、改めてクラウドの価値を再考し、本連載の根底となっているデジタルビジネスの創造に向けて、読者各位の企業におけるオリジナルのCloud Journeyを描いてみてはいかがだろうか。
- 戸賀 慶(とが けい)
- アクセンチュア オペレーションズ本部 インフラストラクチャーサービスグループ シニア・マネジャー サーバ、ネットワーク、ストレージなどのデータセンターテクノロジおよびクラウドを専門とし、現職では企業におけるインフラ全般の最適化に向けたコンサルティング、トランスフォーメーションを担当。 アクセンチュア ジャパンにおけるクラウドイニシアティブのリードとして、クライアント企業にクラウドの真の価値を届けるために日々、奔走。
- 倉本 和治(くらもと かずはる)
- アクセンチュア オペレーションズ本部 インフラストラクチャサービス マネジャー 専門分野は、クラウドコンピューティング・ワークプレイスを中心としたITインフラ全般。 現在は、クラウドサービスを活用したクラウド診断、ワークプレイスを用いた業務改革、要件定義~導入を担当。