社内の開発環境をMonacaに統一する
アシアルは、モバイルアプリの開発にフォーカスしているように見える。だが、決してモバイルに限定したわけではない。同社のビジネスは「汎用的な技術を使って、アプリを開発するためのプラットフォームを提供すること」(田中氏)にある。Monacaの活用範囲は広いということ。
たとえば、IoTやロボットなどのアプリ開発は今後、活発化するだろう。ところが、各社のロボットごとに、異なる開発環境を用意していたら、アプリ開発のボトルネックになる。開発環境の整備に時間もコストもかかる。ユーザー企業もソフト開発会社も技術者確保に奔走し、技術者不足が社会問題化するかもしれない。
技術者にとっても、次々と生まれる言語などを習得するのは大変なこと。「普遍的な、汎用的な技術がすべてのプラットフォームに使えれば、技術者の能力を最大限に生かせる」(田中氏)。モバイルアプリの技術者を、IoTやロボットのアプリ開発に振り向ける。もちろんWeb技術者を、モバイルアプリの開発に回せるなど、社内での技術者のやりくりもスムーズになるという。
フルスタックの技術者を育成するのは、容易なことではない。田中氏によると、米国の開発コミュニティで、サーバ側もクライアント側もJavaScriptを採用する技術者が一番多いという。そこをモバイルまでに広げるために、「社内の開発環境をMonacaに統一しましょうと提案している」。

- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。