IBMは米国時間9月8日、高速なデータ転送を実現する最新の「POWER8」プロセッサを搭載した、「OpenPOWER」ベースのLinuxサーバシステムを新たに3機種発表した。
IBMがPOWER8プロセッサを推進していくうえで、OpenPOWER Foundationというコミュニティーが重要な存在となっている。同コミュニティーには、x86ベースに偏りがちなサーバ製品との均衡を取るために多くの企業が参加している。
IBMが今回発表した新システムは、人工知能(AI)やアナリティクス、深層学習といったワークロードに狙いを定めている。これらのシステムはLinuxを搭載した「Power System」のLCファミリを拡充するものだ。
最上位モデルの「Power System S822LC for High Performance Computing」は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を目的としたサーバであり、POWER8プロセッサとともに、NVIDIAの「NVIDIA Pascal GPU」アーキテクチャをベースにしたGPUである「NVIDIA Tesla P100」を搭載している。またこのモデルには、GPU間の高速な双方向接続を実現する「NVIDIA NVLink」も搭載されている。IBMによると、同社とNVIDIAのテクノロジを組み合わせることで、データの転送速度がx86ベースのシステムに比べて5倍高速化されるという。
同モデルは、ある大規模小売企業と、米国エネルギー省管轄のオークリッジ国立研究所(ORNL)で既に検証され、受注済みとなっている。ORNLのシステムは、同研究所のスーパーコンピュータ「Summit」用のアプリケーション開発環境として利用される予定だ。なおSummitは、IBMがORNLから受注して開発しているシステムであり、2017年に納入する予定だ。
IBMは同モデルに加えて、「Power System S821LC」と「Power System S822LC for Big Data」を発表している。これらのモデルでも、NVIDIAのテクノロジとの緊密な連携とともに、FPGAアクセラレータを用いた高速相互接続が実現されている。
Power System S822LC for High Performance Computingは9月26日より出荷予定であり、その他のシステムは既に販売が開始されている。
提供:IBM
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。