平野氏によるクラウド事業の説明はこれまで幾度も耳にしてきたが、GDPの領域に照らし合わせた話を聞くのは、筆者の記憶ではこれが初めてだ。さらに同氏はこう強調した。
「新たな領域に大きなビジネスチャンスが広がっている中で大事なのは、これまでと違ってもっと分かりやすい話し方でビジネス提案していくことが肝要ではないか」
冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。おそらくGDPにまつわる話も「ビジネスの言葉で話すべき」との平野氏の強い意識の表れだろう。同社に限らず、IT業界全体として意識すべき課題である。
「マイクロソフトとの協業は最も重要な戦略的施策である」 (レッドハット 望月弘一 代表取締役社長)

レッドハット 望月弘一 代表取締役社長
レッドハットの望月社長が先ごろ、日本マイクロソフトが都内ホテルで開いたパートナー企業向けプライベートイベント「Japan Partner Conference 2016 Tokyo」の基調講演で、ゲストとしてスピーチを行った。冒頭の発言はその際に、マイクロソフトとの協業の重要性を強調したものである。
日本マイクロソフトの平野拓也社長から、「数年前では考えられなかったゲストをこの場にお迎えしたい」と紹介されて登壇した望月氏は、レッドハットが手がけるオープンソースソフトウェア(OSS)の価値や成長ぶりについて説明した後、マイクロソフトとの協業について「レッドハットにおけるビジネスのポートフォリオを大きく変革する最も重要な戦略的施策だ」と語った。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。
望月氏は両社の協業内容として、まずマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」をキーにしたオープンなITモダナイゼーションの実現がテーマであると説明。具体的には、図のように3つのフェーズを設けて進めているとした。

レッドハットとマイクロソフトの協業内容
2015年末からスタートしたフェーズ1では、Azureのマーケットプレイスで「Red Hat Enterprise Linux」の提供を開始した。望月氏によると、「Azure上で当社のLinuxを安心して利用できるとともに、従量課金によってコスト負担を抑えることができるので、これまでの8カ月余りで非常に多くの実績を上げることができた」という。
そして現在はフェーズ2として、両社によるパートナーエコシステムの拡大に努めている。両社とパートナーによる魅力的なソリューションを増やしていこうというのが目的で、ここにきていつくかの成功事例も出てきているとしている。
さらに、これから取り組むフェーズ3では、Azure上でのOSSの適用範囲を一層広げ、それらを活用するパートナーエコシステムの拡充も図っていく構えだ。望月氏は、「Azureを基盤としてOSSの世界をどこまで広げていけるか。多くのパートナーに協力をいただきながら、果敢にチャレンジしていきたい」との意気込みを語った。
マイクロソフトによると、Azure上でのOSSの利用は、すでに全体の3割程度に上っているとか。望月氏の意気込みを目の当たりにして、まさしく時代の変化を感じた。今後、両社の関係がどのようになっていくのか、注目しておきたい。