ガートナー ジャパンは9月5日、日本企業のビジネスコストを最適化する10のアイデアを発表した。
多くの最高情報責任者(CIO)がITコスト削減の必要性を認識しているが、デジタルビジネスへの変革によって、今後IT部門は、単純な経費項目の削減よりも先を見据え、よりITのビジネス価値最適化へのシフトを迫られる。
企業のIT部門はそれぞれのITコスト最適化に取り組み始めているが、成功を収めるために、ビジネス価値を付加するテクノロジを継続的に探る「ビジネスコスト最適化」の施策も併せて実施する必要があるとガートナーは指摘している。
デジタル時代のコスト最適化では、テクノロジに投資することで、ビジネスパフォーマンスの向上のために「ITコスト最適化」と「ビジネスコスト最適化」を併せた施策が必要になるという。
実現には、ある分野におけるコスト削減やビジネス成果の向上を実現するために、他の分野のコストが増大する可能性もあるという。
ガートナー リサーチ部門バイス プレジデント兼最上級アナリストのJohn Roberts氏は「デジタルビジネスの時代において企業が効果的なコスト最適化を進めるには、絶えず新たな機会を探求していくためのビジネス戦略とテクノロジ戦略の策定の一環として、事前対応的なプロセスを整備することが重要」としている。
ガートナーは、最高情報責任者(CIO)がビジネスリーダーと連携してITを有効活用し、ビジネス成果を達成するために、次のように「ビジネス・コスト最適化の10の重要な機会」を提示している。既存のコスト最適化の取り組みと、この10のアイデアを比較し、確認することを推奨している。
以下は、同社が示す10のアイデア。
1.ビジネスプロセスのデジタル化
デジタルビジネス環境では、ビジネスプロセスが不可欠な企業資産であるという認識がなかなか浸透していない。必要なすべてのコンピテンシと専門知識を集結させる統合アプローチを構築し、またエグゼクティブリーダーシップチームの賛同を得られる体制を策定すべきとのこと。プロセス管理が企業の運営体制の一部として確立されている場合、変更も継続的な通常のプロセスの1つとなる。
2.継続的改善の組織文化
企業は時として「いつもこのようにやっている」という従来の姿勢にとらわれ、それが無駄を生むことがある。CIOは、前段階における問題が原因となって再作業や遅延といった形で現れてくる。このような無駄を明らかにし、排除するために、ビジネスリーダーと協力して作業し、リーンによる改善に重点的に取り組む必要がある。
3.顧客セルフサービス
今日の顧客は、迅速かつオンデマンドでの回答を求めている。CIOはセルフサービステクノロジを扱う戦略を確立する必要がある。また、絶えず更新するとともに、顧客の観点と経験に基づいたものにしなければならない。