地図が格段に便利になった
iPhoneの地図は、当初はGoogleマップを使っていたが、途中からApple独自のものに変更になった。そして日本では、「ガンダム駅」が存在するなど、当時は散々な状態であったが、その後は着々と改良を進めてきていた。依然、乗り物に乗るコースは別のアプリにリンクさせないといけない、といった課題が残っていたのだが、今回大幅に改善してきた。
経路検索は前からできていたのだが、今回、途中で立ち寄りたい場所にも対応するようになった。例えば、東京駅付近にあるオフィスから横浜のお客様先まで運転する営業担当が、途中の川崎辺りでガソリンスタンドに寄りたい、あるいは昼食をとるためにファミリーレストランを探したい、といったときに、その場所を探した上で、立ち寄ったことで余分に追加になる時間も検索してくれる。
一般的に、車メーカーの純正カーナビの場合、途中でレストランに行きたくなったら、レストランを検索して到着後、もう一度先ほどの目的地を検索しなくてはならない。追加時間といった概念は存在しないのだ。これは、時間に追われるビジネスパーソンにとって、とても便利な機能ではないだろうか。
また、交通機関を使う場合にも、駅構内の連絡通路など細かいところに対応してきてくれたのも嬉しい。筆者は現在、Googleマップを中心に利用しているが、経路案内の駅からの経路はかなり曖昧だ。出口は表示されているものの、出入り口が存在していない、駅の中心部から直線で経路案内が始まることが多いため、正確な時間を確認しづらいのだ。
iOS 10でスイートホームをスマートホームに
新たにiOS 10で搭載されるホームアプリケーションでは、自宅のインターネットなどを活用して、自宅の照明やエアコンの操作もできるようになる。そういうサービスは今までもあったが、iOS端末から手軽にできるようになる。また、本アプリでは「帰宅」「起床」「就寝」といった、シーンに応じて必要な機器のオン、オフをあらかじめ設定しておくことで、ワンタッチで複数の機器の操作が可能になるのだ。
このように、新しいiPhone、iPadでは家庭内にあるモノをインターネットにつなぐIoT機能が強化されている。この機能が、生活やビジネスをどう変えていく可能性があるのか、その一例として「高齢者ビジネス」について紹介したい。
iOSを使った高齢者向けビジネス

「見守りコンセント WiFi-Plug」
愛知県名古屋市にあるパワーエレックでは、2016年から「見守りコンセント WiFi-Plug」という商品を発売し始めた。おじいちゃん、おばあちゃんといった高齢者と離れて暮らしている家族から、遠隔で高齢者の状況を確認することができる仕組みだ。イシンでは、この仕組みを使い、デイサービスなどを提供する会社を通じて高齢者の家族向けのサービスを開始している。
高齢者にとって、家族とは言えカメラなどを設置して、日々の生活を遠隔で監視されることは望まない。かといって、セコムなどのセキュリティサービスは費用負担が大きい。高齢者の親を持つ子供たちにとって、同居できない事情があるものの、ある程度は状況を把握したい、というニーズに対応するサービスなのだ。
孤独死は家主負担も大きい
筆者の自宅がある東京都墨田区は、古くからの家が多く、高齢者の一人暮らしも多い。筆者の自宅付近でも、かなりの日数を経て孤独死が発見されるケースも珍しくない。こういう場合、賃貸住宅の場合は事故物件として扱われることになり、その後の家賃は半減してしまうことがある。また日数が経っていると臭くなってしまうという問題もあり、内装のリフォーム費用もばかにならないことになる。
一人暮らしの高齢者の状況を把握したいのは、家族ばかりとは限らないのだ。公営住宅にも高齢者は多いし、自治体にとってもリフォームなどのコスト削減に大きく寄与するサービスとなっている。
今回のアップデートで、iPhoneはさらに必要な存在であり、しかし以前ほどiPhoneを意識しない存在になった気がする。次回は、今回搭載されたFeliCaについて触れてみたい。