Windows 10は互換性検証を2年に短縮できる
4つ目の「サービス」については、海外の調査結果として、これまでのWindowsは互換性など検証を行う上で約4年を要したが、Windows 10は後方互換性が高いため2年度に短縮できることをアピール。この点については意見が分かれるところだが、現在はWindows 10登場から1年を過ぎているため、「これから企業の試験導入や本格導入、そして展開が増えていく可能性が高い」(浅田氏)という。
その根拠として日本マイクロソフトが提示したのが、某大手製造業によるWaaS(Windows as a Services)の採用事例だ。某社では重大度を3段階に分け、月例の更新プログラムについては「重要度が高い」区分をMicrosoft製ツールで自動的に検証を行っている。また、8月にリリースしたAnniversary UpdateのようなCB(Current Branch)を対象にしたアップデートに対しては、「重要度が中程度」の区分について手動で検証を行い、それ以外は無視するという判断を下しているという。これで問題が発生していないことに驚きを覚えるが、某社の判断は1年ほどWindows 10 Insider Preview(頻繁にシステムを更新するテストレベルのWindows 10)を検証した結果によるものだ。

WaaSのサイクル。CBは消費者向け。CBB(Current Branch for Business)は約4カ月の検証期間を経て"こなれた"環境を必要とする法人向け。LTSB(Long Term Service Branch)はミッションクリティカルな環境で選択する
Windows 10の新しい法人ライセンス
最後の「ライセンス」については、Windows 10 Enterprise SAを改称した「Windows 10 Enterprise E3/E5」と、「Windows 10 Enterprise E3/E5 for CSP(Cloud Solution Provider)」について説明が行われた。新ライセンスは、既存のOffice 365 Enterpriseプランに合致させた形だが、前者はボリュームライセンスの名称変更であり、後者はCSP参加企業向けのソリューションで「自社のクラウドサービスやアプリケーションと組み合わせた形でビジネス展開するためのもの」(浅田氏)。2つは別のものとしてとらえる必要がある。
また、時期は未定ながら日本マイクロソフトも、Windows 10 EnterpriseとOffice 365、そしてEMSを組み合わせた「SPE(Secure Productive Enterprise)」の提供を始めることを明らかにした。構成によってE3/E5の違いはあるものの、「もっともセキュアな環境を必要とする利用者向けのパッケージ」(浅田氏)となる。

Windows 10 Enterprise E3/E5はトータルソリューションを実現するため、これまでの空白位置に当てはまる存在となる

SPE(Secure Productive Enterprise)の提供を始める。ただし、Windows Defender ATPを含めるにはE5の選択が必要だ
E3/E5 for CSPやSPEの登場により、パートナーのビジネスは月額モデルに変化していく。「Windows 10はプロダクトではなく、プラットフォームとして存在する形を目指したい」という浅田氏の言葉どおり、Windows 10を取り巻く環境も関連するビジネスも変化していく。